Case study
導入事例

Knowledge Explorer

印刷機器メーカーのナレッジ活用事例(理想科学工業株式会社)

理想科学工業はペーパーコミュニケーション分野において独自の製品・サービスを提供する開発型企業です。「世界に類の無いものを創る」を開発ポリシーとして新製品の開発に努めており、現在の主力製品の高速カラープリンター「オルフィス」、デジタル印刷機「リソグラフ」は、多枚数のプリントをより速く、リーズナブルに処理したいというお客様へ最適なソリューションを提供。学校・企業・自治体など世界180の国や地域において幅広く活用されています。
製品開発に必要となる品質情報、基準書の活用促進や技術伝承強化を目的に、作成中の文書を解析し、必要な情報をPUSH(自動提示)する図研プリサイトのナレッジ共有ソリューションKnowledge Explorerが試験導入されました。
  • 理想科学工業株式会社様_製品例
今回は導入検討を主導いただいた理想科学工業株式会社 開発本部 P&Dセンター所長付 池上哲司 氏と、同じくP&Dセンター HW設計部 リーダの杉本裕之 氏にKnowledge Explorer導入検討の背景と今後の展望についてお話をお伺いしました。

お客様の企業プロフィール

会 社 名 理想科学工業株式会社(RISO KAGAKU CORPORATION)
本  社 東京都港区芝五丁目34番7号 田町センタービル
創  業 1946年9月2日
従業員数 3,563名 (2016年3月31日現在 グループ全体)
資 本 金 141億円
お話を伺った方
開発本部 P&Dセンター所長付 池上哲司 氏
開発本部 P&Dセンター HW設計部 リーダ 杉本裕之 氏

(取材年月:2016年11月)

採用いただいたソリューション
Knowledge Explorer

オペレーションが難解ではシステムは定着しない

理想科学の特徴として、メカ、エレキ、ソフトに加えてサプライ(消耗品)も自社で開発から製造・販売まで手掛けているというところがあります。サプライを自社で開発することによりサプライとハードウェア両面から摺り合わせができることは他社には無い強みだと感じています。多分野の摺り合わせで製品を開発していく中で、社内の情報を活用していくために2008年頃に、あるファイリングシステムを導入していました。導入当初からシステムに情報を貯めはじめ、ある年度には貯めるに値するドキュメントを作り込むことを評価指標とするなど積極的に貯めていったのですが、実際に設計者が使うにはオペレーションが直感的では無いなど問題があり、システム自体が定着したとは言い難い状況でした。貯まっている情報に辿り着くことも慣れないと難しい仕組みでした。
  • 理想科学工業株式会社様_インタビューの様子1
開発本部 P&Dセンター所長付
池上哲司 氏

"Knowledge Explorerでは編集しているドキュメントの内容に応じて、重要なキーワードが通知されてくるということでしたので、これは気付きを促すきっかけになるのではと感じました。"

見に行けばある状況だが、あることを知らない

以前導入したファイリングシステムの導入目的の1つに「漏れの無い技術伝承を」と言うテーマがありました。しかし、そのシステムは、製品の機能展開など関連度を意識して登録することを前提とした仕組みだったので、登録そのものが難しかったという印象があります。オペレーションも難解でした。 この仕組みとは別に、製品の不具合や改良の記録などの情報を残すような習慣は以前からありました(2000年以前は紙ベースでファイリングしていた)。2000年頃からは、このような情報をExcelに登録し、関連ファイルはハイパーリンクでリンク付けして過去トラブルを確認できるようにしていました。それ以外にも過去トラの再発防止や人によるバラつきを少なくするため、いわゆる設計標準書のようなガイドライン的な資料を作って特定の場所に保存して周知することで、「見に行けば設計に有益な情報がある」という状況にはなっています。しかし、記載されている内容をある程度知っている人でないと有益な情報として見に行かない、見つけられない状況です。また、社歴の浅い社員や派遣社員の方々は、そもそも『情報があることを知らない』可能性もあります。

自力で調査を開始しても欲しい情報に辿り着けない場合は、基本的には有識者に頼っていましたね。あの人なら何か知っているはずと言ったような。情報があるとしても、聞く前には「あるかどうか」が分かっていないので自力で探しようがないのです。
  • 理想科学工業株式会社様_インタビューの様子2
開発本部 P&Dセンター HW設計部 リーダ
杉本裕之 氏

"情報があるとしても、聞く前には「あるかどうか」が分かっていないので自力で探しようがない。Knowledge Explorerの活用によりベテラン社員が教えなければ身につかない知識にも、自力で辿り着くことができるのではないかと感じています。"

PUSH式で気付きを促す

そのような状況の中、図研プリサイトさんに開催いただいた社内向けセミナーでさまざまな製品を紹介していただく機会があり、Knowledge Explorerの社内外に埋もれている情報をPUSH式で気付かせることができるというコンセプトに興味を持ちました。実は以前から「ここって何かおかしくないか」という気付きさえあれば、設計確認をし直したり、評価を行ったり、もっといろいろと検討して手戻りを防止できたのにと思っていました。ですが、そもそも担当者が知らないことを「自力で気付く」こと自体が難しいと感じていました。

興味を持っている社員の知識を拡げるきっかけに

Knowledge Explorerをご紹介いただいた後に参加者を対象に社内でアンケートを取りましたが「PUSH式で気付かせるというコンセプトに興味を持った」という同じような意見がありました。一方で品質向上に対して本当に効果があるのかという意見や、まずはある程度データを整理する必要があるのではないかという意見もありました。自分としては、今までにない面白いツールだと思いましたので、テスト導入をしてみようと決断しました。テスト導入のサーバに社内にあるデータの一部をコピーして、実際にどのように気付きを促してくれそうかを試してみることにしました。

実際に使ってみると、若手や部署を異動したばかりのメンバーなど、経験は浅いが自ら興味を持って調べたいという社員にとっては非常に有用な仕組みになり得るのではと感じました。従来はベテラン社員が教えなければ身につかない知識にも、自力で辿り着くことができるのではないかと感じています。

検索時間の短縮になることはすぐに分かりました。先程お話したExcelベースで不具合や改良の記録などの情報を貯めている中には孔版製品、インクジェット製品合わせて3000件以上の登録内容があるのですが、これを横断的に漏れなく確認することや関連情報を探すには多くの時間を費やしていたのですが、Knowledge Explorerの機能により効率よく活用できることが分かりました。こういったことから少し範囲を広げて導入していくことを決めました。
  • 理想科学工業株式会社様_インタビューの様子3
聞き手 : 図研プリサイト
営業部 ソリューション営業課 課長 倉本 将光(右)
技術部 SE課 主任 佐々木 崇(左)

活用度を高めていくための課題

フォルダに格納している様々な資料を読み込ませた場合にもフルオートでキーワード辞書を整備してくれるのでありがたいのですが、そういった場合のキーワードの精度についてはやや手を入れる必要があるのかなと考えています。元が様々なファイルを格納するサーバなので、Knowledge Explorerのせいだと一概には言えないのですが、数か月に一度、キーワード辞書を一括メンテナンスすることで、さらに有用な仕組みになると考えています。雑多に置かれているファイルサーバを整理するのは大変ですし、またいずれ雑多になってしまうかなと思います。このあたりはバランスでしょうね。

今後の展望

例えば、設計の用途であればデザインレビューなどで積極的に使ってみたいですね。有識者が「確かこんな情報があったはず」なんてアドバイスをくれることがあるのですが、担当者が後から調べて情報に辿り着けないことや、調べるのに多くの時間を費やすなんていうことがあります。その場で有識者と一緒にすぐに調べてしまえば後で見つからなかったということも無くなりますので。

技術者は、役職や役割によって見たい、探したい内容が当然異なります。そのため、用途にあったキーワード辞書を的確に準備できればいろいろな用途に応用が利く仕組みなので、発展性があると期待しています。ベテランは、欲しい情報が存在する場所をある程度把握しているので、自力で探そうとする傾向がありますが、自分は知っていると思う範囲は自らが思っているだけですので、こういった仕組みで情報がPUSHされると知らない情報や有益な情報が出てくることも往々にしてあるので活用の幅が拡がる可能性があると思います。