Case Study

導入事例
2026.03.25 Visual BOM

【PLM導入事例】属人化DBから脱却し、少量多品種開発を支える情報基盤を構築

サンリツオートメイション株式会社

 

産業用アプリケーション分野に欠かせない組み込みコンピュータシステム。工場の生産設備から社会インフラ、センシングや制御装置まで、さまざまな現場で求められる“確実に動き続ける技術”を支えているのが、サンリツオートメイション株式会社様です。
主にはCPUボード、IOボード、それを組み込んだラック製品、コントローラー装置など、組み込み用コンピュータ構築に必要なプラットフォームの提供から、それに搭載されるアプリケーションシステムの構築までを一貫して手がける同社は、少量”極”多品種、かつ製品によっては20~30年といった長期保守が必要となるというお客様の高度な要求に、確かな技術力と実績で応えてきました。

「高度な組み込みコンピュータ技術を核に、幅広い産業分野の課題を解決する開発力と実績を持つ技術型のメーカーであることが当社の強みです」(阿部様)

同社では、その開発力をさらに高めるため、設計から製造、保守といった製品ライフサイクルにおいて一貫して活用できる情報基盤の整備に取り組み、図研プリサイトのPLMシステム「BOM Producer(※)」を導入しました。
導入後10年以上にわたりBOM Producerを使い続けてこられた同社。その運用の積み重ねが、現場にどのような価値をもたらしてきたのでしょうか。今回は、長年の運用を見てきた開発三部長の髙山様と開発二部 主任技師の阿部様に、導入前に抱えていた課題や、導入後の効果について詳しくお話を伺いました。

※図研プリサイトは、お客様の取り組みテーマに柔軟に対応するため、3Dデータ活用機能を除き、PLMソリューションとしての基本的な機能を提供する製品(BOM Producer)を用意しています。BOM Producerのデータ構造はVisual BOMと同じであり、機能はすべてVisual BOMにも実装されているため、製品ライセンスを変更するだけでVisual BOMにアップグレードすることが可能です。

  • サンリツオートメイション様 本社

お客様の企業プロフィール

会社名
サンリツオートメイション株式会社
本社
東京都町田市南成瀬4-21-9
工場
東京都町田市南成瀬4-21-6
設立
1971年3月
資本金
1億3,260万円
事業内容

■先進計測/制御システム提供
 ・計測・制御用の先進ITシステム製品
■アプリケーション
 ・システム構築
 ・生産ライン、社会インフラ向けシステム構築
■高性能コンピュータ・プラットフォーム提供
 ・産業用組込コンピュータ・コンポーネント製品

お話を伺った方

  • 開発三部 部長

    髙山 弘 様

  • 開発二部 主任技師

    阿部 翔太 様

取材年月日:2026年1月20日

採用いただいたソリューション

Visual BOM

モノづくりを強力に支援する
PLMソリューション

導入の決め手:業務に寄り添うカスタマイズ性

同社の製品は多岐にわたり、その部品点数も基板単体で数百点から1,000点以上に及ぶものまで幅広く展開されています。同社では製品の部品・図面情報を、自社構築したデータベース上で管理していましたが、長年の運用の中で製造部門の1名がメンテナンス・更新・オペレーションを一手に担う属人化が進んでいました。システム自体は機能していたものの、担当者の異動や退職に伴うシステム運用の継続リスクが大きな懸念となっていたのです。

「業務はそれなりにできていましたが、属人化が一番の問題でした」(髙山様)

こうした情報管理体制を持続可能な形へと見直すため、同社はパッケージ製品の導入検討を本格的に進めることとなりました。

BOM Producerの導入においては、自社業務に合わせたカスタマイズの柔軟性に加え、パッケージ製品の採用により属人化からの脱却と運用の標準化・継続性を担保できるという安心感が、重要な決め手になりました。

「いろいろなベンダーの話を聞き、値段や機能を見て自分たちのニーズに最も合うところで決めました。運用に合わせて柔軟にカスタマイズができる点も良かったです」(髙山様)

導入から10年以上が経過した現在も安定して稼働しており、設計・製造・保守の各部門で幅広く活用されています。長期にわたる現場定着そのものが、当時の選定判断の妥当性を裏付けていると言えるでしょう。
こうして始まったBOM Producerの運用は、属人化の解消にとどまらず、現場の生産性や長期保守の確実性へと価値を広げていきました。

  • インタビューの様子
インタビューの様子

導入後の効果①:部品登録工数80%削減による開発業務の効率化

同社の強みは、高度な組み込みコンピュータ技術を核に、お客様の課題解決にフォーカスする「コト売り」の姿勢です。 顧客要望に合わせて一品一葉で設計する少量多品種の開発では、部品登録や検索といった日々の作業効率が、そのまま開発スピードと品質に直結します。
BOM Producer導入前は、部品を1点登録するために紙での申請・承認回覧を経て、DB担当者へ登録を依頼するという、時間を要するフローでしたが、システム導入後はワークフローによる電子承認と担当者による直接登録に変更され、登録作業の負担が大きく軽減されました。

「とにかく導入前は部品登録がボトルネックでした。当時と比較すると、体感80%は工数が削減できているように感じます。今まで時間をかけてやっていただけに、こんなに簡単に登録して良いのかと感じるほど早くなりました」(髙山様)

また、日々の業務で多く発生する部品検索については、従来は属性情報が少なく、Excelの膨大な一覧表で部品を特定した後、各行のテキスト情報を読み解いて当たりをつけ、必要に応じてデータシートを開いて裏取りする流れでした。一方で、BOM Producerでは、温度・電源電圧などの属性で瞬時に絞り込むことができ、データシートもリンクから即参照できるため、この「行テキストの読解→データシート個別確認」という煩雑な作業が大きく改善されています。

部品検索は当時の工数を“10”とすると、“1”になった感覚です。属性による絞り込みもできますし、関連するデータシートにもすぐ飛べるので、判断が早くなりました」(阿部様)

部品登録や検索といった付帯業務の負担が大きく減った結果、設計者は“検証・評価”といった本来時間をかけて行うべき業務に時間を充てることができるようになりました。少量多品種で複雑な設計が多い同社において、開発の要である検証・評価に集中できる環境は、結果として開発リードタイムの短縮と設計品質の底上げにつながっています。

  • サンリツオートメイション様製品②
サンリツオートメイション様製品

導入後の効果②:長期保守を支える“一元管理”と部門自走化

長く運用される製品が多い同社にとって、設計情報を“いつでも・誰でも・最新の状態で”参照できることが保守の確実性を左右します。
その基盤としてBOM Producerの導入後は、図面は紙から全面的に電子化され、PLM上で一元管理されています。過去に登録した古い図面でもすぐに検索でき、担当者不明の図面に悩まされる場面が大きく減りました。
また、開発担当者以外の方も自ら製品や使用されている部品について簡単に調べることができるため、メンテナンス依頼が来た際にも、単純な作業については製造部門のみで対応が完結できています。それにより、開発部門への問い合わせが減り、より難易度の高い開発案件に集中できるようになりました。

「10年前の製品でも、製造部隊が自分で情報を調べられるのはとても助かっています。開発に問い合わせが来るのは、本当に複雑な修理が中心になっています」(阿部様)

さらに、トラブル履歴のコメントや部品ステータス(使用禁止・非推奨・生産中止など)の運用によって、再発防止の知見が組織内で共有・継承される仕組みも整っています。これにより、保守のスピードと品質の両立が実現しています。

「トラブルのあった部品にはコメントを付け、使用禁止などのステータスで明確化することで、再発が起きにくい運用ができています」(髙山様)

長期保守では、電子部品の生産中止対応や、古い製品の図面・部品構成の検索が頻繁に発生します。BOM Producerに情報が集約されていることで、誰もが最新の図面・構成情報にアクセスでき、担当者の異動・退職による知識断絶のリスクを抑えられます。

  • 部門横断の情報連携
部門横断の情報連携

導入後の効果③:設計初期からの“原価・品質”判断を可能にするプラットフォーム化

また、同社においてBOM Producerは、設計の早い段階から原価の目安を把握し、類似部品の比較検討を迅速に行うための基盤として活用されています。BOMから部品を拾い、概算原価を素早く見立て、どこを削減するかの当たりをつける――こうした原価企画の取り組みが、従来の「Excel抽出→手作業検索」中心のやり方から大きく進化しました。

「部品表上で大体の原価がすぐに分かるので、どこを削るかが早く検討できます。以前はExcelに落として手作業で探していました」(髙山様)

品質面でも、採用実績のある部品を検索しやすいことや、データシートへのリンクによる迅速な適否判断が効果を上げています。構想設計・仮決めの段階ではBOM Producerの情報で絞り込み、詳細設計では必ずメーカー最新版を確認するという“システム×運用ルール”のハイブリッドが、意思決定の速さと確からしさを両立しているのです。

  • システム構成
システム構成

長年の運用を支える「オーガナイザー(管理者ツール)」

これらの効果を長年にわたって維持できている背景には、“運用面での最適化”が進んでいることも挙げられます。
BOM Producerのワークフローは、電子承認の標準化やプロセスの見える化に寄与する一方で、役職者など複数の承認ルートに入る方にとっては通知量が多いなど、日常運用で改善の余地がある点も浮かび上がっています。
その中で同社では、オーガナイザーを活用し、運用管理者が画面構成やワークフローを自社内でカスタマイズする体制を構築。実務に合わせた調整を継続できることで、システムが現場に定着し、安定稼働にもつながっています。

「WFの通知内容やルート設定などをオーガナイザーで運用管理者がカスタマイズできるのは非常に良い点です」(髙山様)

  • オーガナイザー画面イメージ
オーガナイザー画面イメージ

今後の展望:共通基盤の最適化によるQCD向上

BOM Producerは、設計・製造・保守業務において “探せる・活かせるBOM”を組織の共通資産として運用していくための土台です。サンリツオートメイション様では、これまでの運用を通じて築かれてきた仕組みをベースに、現場の実情に合わせた最適化を着実に進め、QCDをはじめとした製品価値向上に取り組まれています。図研プリサイトもパートナーとして、日々の使い勝手の改善から将来の他システムとの連携強化まで、長期視点でご支援してまいります。
(左から)髙山様、阿部様

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