半導体用材料メーカーのナレッジ活用事例
グローバルウェーハズ・ジャパン株式会社
スマホ、パソコン、デジタル家電など、生活の身近にある電子製品に必ず搭載されている半導体デバイス。グローバルウェーハズ・ジャパン株式会社は、半導体デバイスの製造に欠かせない基板材料であるシリコンウェーハの製造において世界有数のメーカーだ。台湾のグローバルウェーハズを本社とするグループの中核企業として、世界の半導体メーカーへ高品質なウェーハを供給し、市場シェアは世界第3位を誇る。昨今では、半導体産業の発展に伴い、AIを活用した技術開発支援にも注力している。
そんな同社は、技術ノウハウの伝承や情報共有の課題を解決するために、当社のナレッジ活用ソリューション「Knowledge Explorer」を導入した。今回、本製品導入の中心を担ったお二方に、導入の経緯や効果についてお話を伺った。
お客様の企業プロフィール
- 会社名
- グローバルウェーハズ・ジャパン株式会社
- 本社
- 新潟県北蒲原郡聖籠町東港六丁目861番地5
- 設立
- 1991年6月18日
- 社員数
- 1,598名(2025年3月1日現在、関係会社を含む)
- 事業内容
シリコンウェーハの製造および販売
お話を伺った方
-
技術部 基盤技術グループ
参事 AI技術担当 博士(工学)永井 勇太 様
-
生産技術部情報システムグループ
田辺 亮祐 様
2025年01月28日
採用いただいたソリューション

AI実装フルオート型
ナレッジ活用ソリューション
知識は蓄積されているが、過去の情報が存在すること自体に気づかない…
グローバルウェーハズ・ジャパンでは、半導体業界の進化と品質要求の向上に対応するため、開発業務の効率化とスピードアップに日々取り組んでいる。そんな中、技術部 基盤技術グループ参事の永井氏は、社内の情報共有やベテラン社員の技術継承において、課題を感じていたという。
「ある工場で、装置トラブルが発生しました。技術部門や製造技術のメンバーが数カ月かけて原因を調査しましたが、なかなか特定できませんでした。最終的には別の拠点で勤務していたベテラン社員の一言がきっかけで解決しましたが、その内容は何十年も前のそのベテラン社員の週報に記録されていました。もし装置トラブル発生時にこの情報をすぐに見つけられていれば、調査にかかる時間や労力を大幅に削減できたはずです。また、このベテラン社員が退職していたら解決に更に時間がかかっていた可能性がありました。この出来事をきっかけに、蓄積された知識を体系化し、必要な時に即座に活用できる仕組みの導入を検討することになりました」(永井氏)
このような課題を受け、社内では「AIを活用して技術情報の管理と検索を効率化できないか」という声が上がり、永井氏は課題を解決できるシステムの調査を開始した。その後、他社製品と比較・検討を行い、2024年2月にKnowledge Explorerの採用を決定した。
選定の決め手について、永井氏は「過去の情報が存在すること自体に気づかないという課題に対して、参考となるドキュメントをAIがピックアップして教えてくれるプッシュ通知機能が有効だと感じました。実際に使ってみても、関連情報が適切なタイミングで提示されるため、非常に魅力的でした。また、オンプレミス運用であることも重要なポイントでした。機密性の高い開発データの管理や社内システムとの連携を考慮すると、クラウドよりもオンプレミスの方が適していると判断しました」と教えてくれた。
数時間探しても見つからなかった資料を、関連ワード検索で即発見!
導入後の効果について、生産技術部情報システムグループで業務アプリケーション開発チームのリーダーを務める田辺氏は、次のように語った。
「キーワードが自動で抽出され、関連するトピックが提示される機能が非常に便利です。自分では考えていなかった関連情報が浮かび上がることで、新たな発見につながることが多くあります。また、トピックとプレビュー機能を組み合わせることで、検索結果を直感的に絞り込める点も魅力です。通常のファイルサーバーではアクセスできない資料でも、Knowledge Explorerを使うと、内容を確認できるプレビューが表示されるので、探している情報をスムーズに見つけられます」(田辺氏)
さらに、資料検索の効率が大幅に向上したと、永井氏は教えてくれた。
「退職した社員が学会発表で使用した資料を探していたのですが、学会名で検索しても全く見つかりませんでした。しかし、Knowledge Explorerを使ったところ、わずか2分で発見できました。その学会名が省略された形で記載されていたため、通常の検索では引っかからなかったのですが、関連ワードの検索機能を活用して、スムーズに見つけることができました。従来は数時間かかっても見つからなかった資料が、ほんの数分で見つかるようになり、検索の精度と効率が大幅に向上したと感じています」(永井氏)
効率よく知識を伝承して、創造的な業務に取り組める環境を目指す
同社では、Knowledge Explorerの活用を促進するため、社内講習を実施し、これまでに265名が受講した。現在、対象となる社内データは約40万件に達し、今後も登録数を増やしていく予定だ。最後に、Knowledge Explorerに対する今後の期待について、お二方にそれぞれコメントをいただいた。
「まずは、導入のきっかけとなった装置トラブルの際に、過去の知見を活かして迅速に解決できる仕組みを構築していきたいです。失敗事例は共有されにくいものですが、技術向上のためには失敗こそが貴重な学びになります。知識を文章化し、記録・活用する流れを定着させたいです。また、若手の調査にかかる時間を削減し、より高度な思考や創造的な業務に時間を使える環境を整えていきたいと考えています」(永井氏)
「現在、社内には複数の管理ツールがあり、どれを使うべきか迷うことがあります。運用のしやすさを考えると、これらを統一できると非常に助かります。Knowledge Explorerの使い勝手がさらに向上すれば、情報管理の効率が一層高まり、業務全体の生産性向上にもつながると期待しています」(田辺氏)