Case study
導入事例

Visual BOM

医療・リハビリ機器メーカーのPLM導入事例(オージー技研株式会社)

日本は世界でも類を見ないほどの超高齢社会に突入していると言われています。人口に占める65歳以上の高齢者の割合は四分の一に達し、今後も更なる高齢化が予測されています。今回ご紹介するのは、高齢化の進む社会で健康な暮らしを支えることを使命とする医療・リハビリ機器メーカーのオージー技研様です。

オージー技研様は、1949年に医療・リハビリ機器のメーカーとして、低周波治療器を第一号製品に岡山で創業しました。
その後、電動型間欠牽引装置、マイクロ波治療器など、医療の現場で強く望まれている商品を開発し、医療分野で築いた技術力や信頼を介助入浴装置や介護予防機器などの福祉・健康分野へも展開されています。 リハビリ総合機器メーカーとして、医療機関、介護施設、在宅関連施設など、リハビリから生活支援・介護予防の領域まで地域包括ケアシステムを支えている大切なパートナーの皆様とともに日々歩んでおられます。

オージー技研様は、2012年の春からPLM領域とERP領域を並行して構築するというプロジェクトを立ち上げられ、そのPLM領域の中核システムとしてVisual BOMをご選定頂きました。

今回はこれらの取り組みに至った背景や、具体的な取り組みの内容、今後の展開方針などについて、プロジェクトにご参画いただいた、商品設計部次長の片山様、製造部生産管理課課長の神田様、製造部製造2課課長の山下様の御三方にお話を伺いました。
  • オージー技研株式会社 本社と邑久工場写真
左:本社 右:邑久工場

お客様の企業プロフィール

会 社 名 オージー技研株式会社
本  社 岡山県岡山市
工  場 岡山県瀬戸内市邑久町
創  業 1949年
設  立 1966年
従業員数 約530名
資 本 金 4000万円
事業内容 医療機器、福祉機器、健康機器等の製造、販売および輸出入
お話を伺った方
商品設計部 次長 片山 淳 氏
製造部生産管理課課長 神田 泰司 氏
製造部製造2課課長 山下 大輔 氏
注)部署・役職は2016/4/1時点
採用いただいたソリューション
Visual BOM

世界No.1の実現に向けて「経営を支えるITシステムの在り方」

ITシステム刷新に至ったきっかけ

今回の取り組みでは、設計開発だけではなくERPまでを含む全社システムの刷新を行いました(図1.導入システムの全体像参照)。
実は、システム検討のきっかけそのものは決して積極的な改革を狙ったものではありませんでした。刷新前のシステムを見ると、生産管理、販売管理、図面管理など各々のシステムが導入から相当の年月を経ており、新たなOSへの対応などを含む老朽化対応が求められていたことがあります。まずは、この対策をどうするかということが検討の主眼でした
  • 商品設計部 次長 片山 淳 氏
商品設計部 次長 片山 淳 氏
「国内市場での更なるシェアの増加」「海外を含む新市場の開拓」に向けて

ただ、検討を進めていくと当社の「"顧客にとってなくてはならない会社"として世界No.1のリハビリ総合メーカーになる。」という目標に向けて、システムを一新するという方向付けが早々にできました。外的な要因として新たな法規制への対応などもありましたし、せっかく手間やコストをかけてシステムを見直すにあたって、何が重要なのかということを考えた結果です。
一般的にITシステムの検討では単なる効率化に向かいがちですが、「新たな価値の提供」「高品質な製品開発の支援」「コスト競争力の強化」「生産性の向上」といったテーマが浮かび上がってきました。これらの実現には、システムを一から見直す必要があると判断したわけです。
別プロジェクトでERPを導入中であったことから、情報の統合管理の起点となる設計段階からの「BOM」を中核としたデータ管理が重要ということで、PLM領域を含めて一気にシステム刷新することを決めました。
  • 図1:導入システムの全体像

だからPreSightに決めました

3D情報を活用した品質向上やコストダウンの支援

システムの検討段階では当然他社のシステムも含めた比較検討を行いました。
その中で、Visual BOMを選定した理由はいくつかありますが、機能面で大きかったのはCADとの連携性と、3D情報の活用です。
当社では3D CADとして、SolidWorksを採用していました。SolidWorksには部品品番や、素材など様々な属性情報も持たせていましたが、せっかくの情報を活用しきれていなかったというのが正直なところです。
Visual BOMでは、CADデータを元に、3Dビジュアルデータと様々な属性情報を自動で取り込むことが可能です。それらの情報をWebブラウザを用いて設計以外の部門も含めて素早く共有することで、品質の作りこみなどに活用していけると考えました。
  • 製造部 生産管理課 課長 神田(こうだ)泰司 氏
製造部 生産管理課
課長 神田(こうだ)泰司 氏
3D情報の活用ということでは、部品の標準化、コストダウンを支援する類似形状検索機能も高評価でした。海外市場を見据えた製品展開の拡大などに対して、非常に大きな効果が期待できました。
また、XVLという軽量フォーマットを用いることで、生産部門などでのデータ活用を進められそうだという期待もありました。実際に、XVLStudioも導入して、生産用資料の作成などにXVLデータを活用する取り組みも進めています。

一貫した提案から得られた安心感

機能とは別の視点になりますが、当社の狙いを理解しながら、一貫した提案をしてくれたことで安心感を得られたこともシステム選定の理由の一つです。単なる効率化ではなく経営を支えるITシステムを作っていくという当社の目的に対して、Visual BOMをどのように適用して、どこに効果を出すのかという視点で提案いただけたことで、我々自身の考えも整理しながら進めることができました。
また選定の最終段階では、当社のCADデータなどを使用したデモンストレーション環境もご準備いただきました。システムの活用イメージも確認できたことで、運用プロセスが大きく変わっても、このシステムであれば活用できるという確信が持てたのも大きかったです。

mcframeとの連携性

選定理由の最後に挙げたいのが、mcframeとの連携性です。
前述のとおり、今回の取り組みではERP領域とPLM領域を並行して進めるという形をとりました。システム選定では、mcframeが先行して決まりましたので、システム間の連携がしっかり行えるのかも評価のポイントでした。提案当時から、mcframeの開発元である東洋ビジネスエンジニアリング社との協業もされており、事例に基づいた連携の在り方についてもご提案いただきました。
  • 浴槽全体イメージ、類似形状検索イメージ

設計から生産をつなぐトータルシステムの実現

全体システムとしての最適化

今回の取り組みでは、Visual BOMmcframe以外にも「3Dデータ管理システム」「環境情報管理システム」「EDIシステム」なども組み合わせてシステム導入を行いました。限られた人員での全体システムの推進を行ってきましたので、そこには大きな苦労もありました。
しかし一方でシステム連携の在り方などについて、同時並行的に検討できたことによるメリットも大きかったと思っています。

一つの事例として、技術情報を生産/購買に活用するということも行いました。
Visual BOMでは、3D CADから情報連携した際に、検索性の向上などを目的に各々の部品のサムネイル画像を自動生成してくれます。この画像情報をmcframeに連携して「現品票」を作成しています。部品メーカーとのやりとりなどに活用することで、ピッキング時の部品確認ミスを減らすなどの効果も出ています。
  • 製造部 製造2課 課長 山下 大輔 氏
    製造部 製造2課 課長
    山下 大輔 氏
  • 全体システムとしての最適化

より戦略的なシステムの活用に向けて

設計開発を支える基幹システムとして

既に、Visual BOMは当社のビジネスを支える基幹システムの一翼を担っています。今後はこのシステムをより戦略的に活用していくことが重要だと思っています。
設計領域では、電気CADとの連携性の向上といったテーマについての取り組みも行っています。(図研の回路図CADである)CR-8000/DesignGatewayも導入して連携の強化を進めています。

「Visual BOM」+「mcframe」への更なる期待

図研様は東洋ビジネスエンジニアリング様との協調関係を更に強化するという話も伺っていますので、Visual BOMmcframeの連携が強化されることにも期待しています。
例えば、iPadのようなタブレット端末から、Visual BOMで持つ技術情報とmcframeで持つ生産情報の両方にシームレスにアクセスできれば、生産やサービスの現場での様々な情報の活用も考えられます。
両社からの、更なる付加価値の提案をお待ちしています。