開発業務の本質を見つめ直し、部門ごとの部品表管理を検討。
菊水電子工業において主力製品の一つである直流電源装置は、簡単に言えば電気電子機器を動作させるバッテリーや内部電源を模擬する装置だ。「不安定な電源や瞬間的な停電を模擬することができるので、開発時の試験や検査で使用されます。また、システムそのものを動作させるのにも利用されます」と、同社開発推進部 開発管理課 主任の小原氏は分かりやすく教えてくれた。
これら製品の機種は非常に多く、部品表の数も膨大だ。「直流電源装置であれば小容量から大容量まで約300種類に及び、各機種の中で仕様の異なるモデルが複数存在します。さらにCR-5000/8000(図研の電気CAD)に仕向け部品表があるように、1モデルに複数の部品表が存在します。これらが製造中止部品の対応や設計改良のたびに更新されリリースされます。結果として、モデルごとに多種類の部品表が作成されます」と小原氏は語った。
これら製品の機種は非常に多く、部品表の数も膨大だ。「直流電源装置であれば小容量から大容量まで約300種類に及び、各機種の中で仕様の異なるモデルが複数存在します。さらにCR-5000/8000(図研の電気CAD)に仕向け部品表があるように、1モデルに複数の部品表が存在します。これらが製造中止部品の対応や設計改良のたびに更新されリリースされます。結果として、モデルごとに多種類の部品表が作成されます」と小原氏は語った。
開発推進部 開発管理課 主任 小原氏
PLM導入以前の同社では、部品表は基幹システムでデータ管理していたものの、生産部品表として機能していた。そのため、開発部門は生産を意識した部品表構成を強いられていたという。「開発部門は部品表を含めた回路図などの設計結果を提供する事が業務の本質であり、これらをE-BOMで管理したいと考えていました。また、開発の初期段階から材料費を算出したいなど、要求は多々ありました。一方、生産部門は生産計画や在庫、工程設計を考慮したM-BOMの構成を自部門で構成したいと考えていました」(小原氏)
同社では、開発部門と生産部門の複雑な要求を満たすため、2017年初頭からPLM導入検討を開始した。その後、一年以上にわたる比較・検討の末、2018年6月に Visual BOM の導入を決定した。同社開発推進部 開発管理課の林氏は「回路図と部品表の整合性を確保するために『回路図データ正』で管理が必要な都合上、利用しているCR-5000/8000との親和性、連携の強みが決め手になったと思います」と語った。
同社では、開発部門と生産部門の複雑な要求を満たすため、2017年初頭からPLM導入検討を開始した。その後、一年以上にわたる比較・検討の末、2018年6月に Visual BOM の導入を決定した。同社開発推進部 開発管理課の林氏は「回路図と部品表の整合性を確保するために『回路図データ正』で管理が必要な都合上、利用しているCR-5000/8000との親和性、連携の強みが決め手になったと思います」と語った。
開発推進部 開発管理課 林氏
社内の情報伝達スピードが飛躍的に向上!
Visual BOM 導入後、同社では導入検討時に掲げていたテーマ(解決すべき課題)を着実にクリアしているという。
1つは、部品の検索性向上だ。従来は部品の型名検索しかできないシステムを利用していたため、主要な部品特性を組み込んだ型名を命名するなど、開発時の制約事項が多かったという。Visual BOM は部品特性を登録し、その値で検索することが可能である。また、関連書類やドキュメントもリンクできるため、小原氏は「類似部品が重複登録されるのを防止できるようになった。また、開発時の部品選定が飛躍的に向上した」と述べた。
もう1つは、部品登録業務の効率化だ。従来の運用ではExcelの台帳で部品の採番を行っていたため、小原氏いわく「台帳の管理者が不在の際、発番ができない事もあった」などの課題が存在したという。現在では、Visual BOM の自動採番機能によって、部品登録業務の省力化が達成できたとのことだ。
他にも、導入効果として「社内の情報伝達が非常にスピードアップした」と小原氏、林氏の両氏は話す。従来、変更連絡書や部品登録依頼書などを紙で回覧していた際は、書類はそれぞれの主管部署で管理していたため書類の置き場へ行かなければならなかったが、Visual BOM導入後は一元管理されるようになり、いつでも、どの部署からでも参照できるようになった。回覧中の書類も「ワークフロー機能により進行状況が見える化されたため、どこで止まっているのかすぐに把握できるようになりました」と林氏は述べた。
1つは、部品の検索性向上だ。従来は部品の型名検索しかできないシステムを利用していたため、主要な部品特性を組み込んだ型名を命名するなど、開発時の制約事項が多かったという。Visual BOM は部品特性を登録し、その値で検索することが可能である。また、関連書類やドキュメントもリンクできるため、小原氏は「類似部品が重複登録されるのを防止できるようになった。また、開発時の部品選定が飛躍的に向上した」と述べた。
もう1つは、部品登録業務の効率化だ。従来の運用ではExcelの台帳で部品の採番を行っていたため、小原氏いわく「台帳の管理者が不在の際、発番ができない事もあった」などの課題が存在したという。現在では、Visual BOM の自動採番機能によって、部品登録業務の省力化が達成できたとのことだ。
他にも、導入効果として「社内の情報伝達が非常にスピードアップした」と小原氏、林氏の両氏は話す。従来、変更連絡書や部品登録依頼書などを紙で回覧していた際は、書類はそれぞれの主管部署で管理していたため書類の置き場へ行かなければならなかったが、Visual BOM導入後は一元管理されるようになり、いつでも、どの部署からでも参照できるようになった。回覧中の書類も「ワークフロー機能により進行状況が見える化されたため、どこで止まっているのかすぐに把握できるようになりました」と林氏は述べた。
同社のPLMシステム構成イメージ
「導入したら終わり」じゃない。次のステップは運用の定着と改善。
現在、菊水電子工業では、創発センターの開発部門、山梨県にある富士勝山事業所の生産部門、あわせて約200名の方がVisual BOMを利用している。さらなる活用に向けた目下の課題は、設計初期段階からのコスト管理だという。「初期段階からコスト管理をしないと、開発が進むにつれて設計の自由度がどんどん落ちてしまう。また、経営的にも初期段階からコストを見ていくことは重要」と小原氏は話す。
最後に、今後のVisual BOM運用に際して考えていることをお二方から伺った。
「開発者一人ひとりが部品のパラメータを必ず登録することや、登録された情報の冗長な部分を最適化していくことなど、システム導入によって生まれた新しい文化を定着させていきたいです」(小原氏)
「従来の運用プロセスをそのままシステムに載せてしまった部分もあるため、開発者が使いやすくなるようなプロセスやシステムの改善を継続していきたいと思います」(林氏)
最後に、今後のVisual BOM運用に際して考えていることをお二方から伺った。
「開発者一人ひとりが部品のパラメータを必ず登録することや、登録された情報の冗長な部分を最適化していくことなど、システム導入によって生まれた新しい文化を定着させていきたいです」(小原氏)
「従来の運用プロセスをそのままシステムに載せてしまった部分もあるため、開発者が使いやすくなるようなプロセスやシステムの改善を継続していきたいと思います」(林氏)
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