Case study
導入事例

Knowledge Explorer

電源センターのナレッジ活用事例(ニチコン株式会社)

ニチコンは、家電、パソコン、スマートフォン、自動車など、あらゆる電子電気機器に不可欠な電子部品「コンデンサ」や、各種電源や機能モジュールなど、回路製品の開発・製造・販売を手掛ける世界有数のメーカーだ。

近年では国内累計販売台数ナンバーワンを誇る家庭用蓄電システム、電気自動車と家を繋ぐV2H(Vehicle to Home)システム、陽子線や重粒子線を使用したがん治療設備向け加速器用電源などを展開し、安心で快適な暮らしや社会に貢献している。

そんな同社は、ベテランの引退によるノウハウや知見の消失を防ぐべく、当社ナレッジ活用ソリューション「Knowledge Explorer」を導入した。今回、本製品導入の中心を担った同社電源センター 技術管理部の御二方にインタビューを行い、導入の経緯や効果について話を伺った。
  • 太陽光発電も、EVへの給電もこれ1台でOK「トライブリッドパワコン®」
太陽光発電も、EVへの給電もこれ1台でOK「トライブリッドパワコン®」

お客様の企業プロフィール

会 社 名 ニチコン株式会社
本  社 京都市中京区烏丸通御池上る
事 業 所 電源センター:東京都中央区日本橋兜町14番9号
設  立 1950年(昭和25年)8月1日
従業員数 5,587名(2022年3月31日現在 連結)
事業内容 アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、小形リチウムイオン二次電池、正特性サーミスタ“ポジアール®”、家庭用蓄電システム、V2Hシステム、EV・PHV用急速充電器、公共・産業用蓄電システム、スイッチング電源、機能モジュール、医療用加速器電源、学術研究用加速器電源、瞬低・停電補償装置など
お話を伺った方
電源センター 技術管理部 部長 兼 部品情報管理課 課長
西田 智宏 様

電源センター 技術管理部 部品情報管理課
大塚 達也 様

(取材年月日:2023年04月14日)
採用いただいたソリューション
Knowledge Explorer

ノウハウ集が膨大なデータに埋もれてしまう懸念

世界三大金融街として歴史のある日本橋兜町。ニチコン電源センターはその一角にあり、蓄電システムと一般電源(スイッチング電源)の設計・開発を行っている。同センターの設計業務をサポートする技術管理部 部長の西田氏曰く「2020年の日系電源メーカーのカスタム電源分野でシェアNo.1」とのことだ。

2019年初頭、同センターではベテラン設計者が相次いで引退したのを機に、ある事態を懸念していたという。購入部品の仕様書や設計文書の管理、ならびに基板設計で利用する部品形状(フットプリント)の登録を担当する、技術管理部 部品情報管理課の大塚氏は当時の懸念を次のように話した。
  • 電源センター 技術管理部 部長 兼 部品情報管理課 課長 西田 智宏 氏
電源センター 技術管理部 部長 兼 部品情報管理課 課長
西田 智宏 氏
「引退された方々は皆ノウハウ集のようなものを作成してくれたのですが、ちょうど社内で管理すべきデータが一気に増加していた時期だったということもあり、せっかく残してくれたノウハウが埋もれてしまう懸念がありました。そこで、データを容易に探すことができるシステムを探していました」(大塚氏)

こうした懸念の顕在化への対応を検討する中、同年4月に東京ビッグサイト青海展示棟で開催された「AI・人工知能EXPO」に訪れた西田氏は、図研プリサイトの出展ブースにてKnowledge Explorerのプレゼンテーションを聞いた。本製品のことを以前から知っていた同氏は「参考ドキュメントをお薦めするAIが搭載されたという話を聞いて、試してみることを決めた」という。その後、両氏は社内のペーパーレス化業務と並行して慎重に検討を進め、2020年6月に導入を決定した。
  • 電源センター 技術管理部 部品情報管理課 大塚 達也 氏
電源センター 技術管理部 部品情報管理課
大塚 達也 氏

担当者間の情報共有や、特許の新規性チェックに活用!

ニチコン電源センターでは、設計部門のメンバーを中心に約130名のアカウントを登録して利用しており、対象とするデータ数は200万件を超えているという。導入後の具体的な効果について、大塚氏は次のように述べた。

「家庭用蓄電システムを担当している部門から好評です。一般電源は基本的に1製品1担当制なのですが、家庭用蓄電システムは複数の基板が連なる構成の都合上、1製品の設計を複数の担当者で進めます。担当者間の情報共有に役立っている印象です」(大塚氏)

また、同社では1件以上/月の特許出願を目指しているが、出願書類の準備において有効活用できると西田氏は話す。
  • おすすめ検索ワード機能を使うと、これといった検索キーワードが思いつかなくても、ドキュメントの作成に参考となる資料を探し始めることができる。
おすすめ検索ワード機能を使うと、これといった検索ワードが思いつかなくても、ドキュメントの作成に参考となる資料を探し始めることができる。
「出願する文書を作成中、テーマが類似した過去の申請内容を通知されるようにすれば、別のテーマを検討しなければならないということに早く気づけるため時間の無駄がなくなります。反対に、作成完了までに通知が無ければ、そのことが新規性の高い内容であることの裏付けになります」(西田氏)

他にも、品質保証部門でも利用できるようにしており、過去トラの通知によって、類似の不具合や不良の検出ができる環境の実現を狙っていると西田氏は教えてくれた。

社内の総合検索窓口としての展開に向けて

現在、西田、大塚の両氏は、検索対象とするデータ種類の拡充を検討しているという。

例えば、同社では製品の評価結果や要素技術の実験結果などを評価レポートという同じ様式でまとめている。また、図研「DS-CR」にて管理している電気設計関連データや、他社システムで管理しているECN(設計変更通知)がある。

これらのデータが検索できるようになれば、Knowledge Explorerを社内の総合検索窓口として展開することが可能になる。今以上の知見やノウハウの共有、ひいては社内浸透が進むだろう。技術的に実現への道筋は見えており、同社の未来は明るい。
  • (左から)西田 智宏 氏、大塚 達也 氏
(左から)西田 智宏 氏、大塚 達也 氏
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