Case study
導入事例

Knowledge Explorer

ソフトクリーム総合メーカーのナレッジ活用事例(日世株式会社)

日世は、ソフトクリームの総合メーカーだ。1951年に日本で初めてソフトクリームを販売して以来、今日ではコーン、ミックス、フリーザー、フルーツ調製品など、ソフトクリームに関連する全ての商品を提供している。海外企業との技術提携や独自の研究を重ね、新たな美味しさを追求してきた同社の歩みは、まさに日本におけるソフトクリーム文化の歴史そのものと言っても過言ではない。

2013年から同社が販売しているプレミアム生クリームソフト「CREMIA(クレミア)」は、高価格でありながら発売当初から売上倍増の店舗が相次ぐ大ヒット商品だ。全国各地のサービスエリアやカフェで販売されているため、ご存じの方も多いだろう。子どものものというソフトクリームのイメージを一変し、多くのスイーツファンを虜にしている。

今回、同社ソフトクリームミックス製造の基幹工場であるびわ湖工場に訪問し、新商品のアイデア抽出から、商品配合の検討、ユーザーへのプレゼンテーション、乳化物の物性等に関する基礎研究までを基本業務とする、プレスト生産部 研究開発課の柴田 聡氏にインタビューを行い、Knowledge Explorer導入の狙いや今後の期待について話を伺った。
  • こだわりから生まれたソフトクリーム「CREMIA」
こだわりから生まれたソフトクリーム「CREMIA」

お客様の企業プロフィール

会 社 名 日世株式会社
本  社 大阪府茨木市宇野辺1-1-47
工  場 びわ湖工場:滋賀県犬上郡多賀町大字四手字諏訪510-7
設  立 1947年5月20日
従業員数 803名
事業内容 ソフトクリームの関連資材(コーンカップ・ミックス・機械類)の製造販売、乳製品(ホイップクリーム)の製造販売、フルーツプレパレーション(フルーツ調整品)の製造販売、小型万能全自動充填機のレンタル、包装資材の仕入販売
お話を伺った方
プレスト生産部 研究開発課 係長
柴田 聡 様

(取材年月日:2022年04月22日)
採用いただいたソリューション
Knowledge Explorer

事業拡大の中で感じた、個人の知識と経験の「限界」

ソフトクリーム業界のリーディングカンパニーである日世は、「ソフトコミュニケーションで世界を結ぶ日世」という企業理念の下、国内のみならず海外展開も積極的に行っている。2010年の上海万博をひかえた2009年に中国市場に本格進出した後、2017年秋には世界最大級のソフトクリーム工場を中国に竣工した。2018年には、中国での成果をさらに広げるべく、ベトナムにも拠点を設立している。

同社プレスト生産部 研究開発課 係長の柴田氏は、2018年から2年間、同社の中国拠点へ赴任して現地のR&D部門立ち上げに携わった。技術コーチングなどを通じて、柴田氏は後進の育成に関して次のような課題を感じたという。

「中国で事業を拡大していこうと思うと、日本国内での多くの知識や経験を現地に伝えていくことが必要だなと感じました。今後、自分より社歴の浅い人間が後任となった時、その個人の経験と知識だけで今まで以上の結果を生み出すことは難しいと思い、先人の知識や経験を残して、必要な人にうまく届くようなシステムが必要だと感じました」(柴田氏)
  • プレスト生産部 研究開発課 係長 柴田氏
プレスト生産部 研究開発課 係長 柴田氏
帰国後、柴田氏は自ら率先してシステムの調査を開始し、2020年5月にIT製品比較サイトにて図研プリサイトのKnowledge Explorerに辿り着いた。ナレッジマネジメントを謳う製品が数多く存在する中、柴田氏いわく「必要な資料を探すだけじゃなくて、(システム側から)提案してくれる機能に期待が持てた」ことが、選定のポイントになったという。

2020年10月、柴田氏が所属する研究開発課にてKnowledge Explorerの評価を行い、翌年1月に正式な導入が決定した。評価から導入まで、柴田氏は「何のために導入するのか理解してもらうため、情報がデジタル化されていて役に立ったという自身の些細な経験を交えて説明しました。また、このような経験を皆が享受できるように、(情報をデジタル化して)サーバー上の価値を高めていきましょう、Knowledge Explorerでそれを共有しましょう、という提案をしました」と、社内メンバーをどのように説得したか教えてくれた。

入社3年目のメンバーに通知された、10年以上前の貴重な参考資料

Knowledge Explorer導入から約1年が経過した現在、対象とする社内のデータ数は徐々に増えて40万件ほどに上り、研究開発課のメンバー約20名がシステムを利用しているという。導入後の具体的な効果について、柴田氏は次のように述べた。

「例えば、イチゴに関わる新商品の企画書を作成している際、様々な品種の調査レポートや、飲食店のイチゴを使ったデザートの食レポなど、関連する情報がずらっと一覧表示されます。システム導入前は、このような情報が存在するのに探すシステムがなく、結果として利用できていなかったのですごく助かっています」(柴田氏)

また、Knowledge Explorer最大の特長であるプッシュ通知機能も役に立っているという。実際に入社3年目のメンバーから「配合や原料の取り扱いに関してまとめられた10年以上前の資料が通知されて参考になった。システムがなければ資料の存在に気づくことは無かったので助かった」という報告があったと柴田氏は教えてくれた。

目下の課題は、柴田氏いわく「データ化できていない紙の資料が膨大にある」ことだという。これらのOCR化が進めば、Knowledge Explorerによる恩恵がより多く享受できる環境になることは間違いないだろう。
  • 同社のKnowledge Explorer画面イメージ
インタビュー中、柴田氏が所属する「プレスト生産部」の名前の由来について尋ねたところ、Knowledge Explorerで検索して教えてくれた

すべての開発データをつなげて、人材育成や開発スピードの向上実現へ

現在、柴田氏はソフトクリームミックスの研究開発部門における成果を全社的に展開すべく、コーン、フリーザー、フルーツ調製品など、他の製造拠点の研究開発部門にKnowledge Explorerを紹介しているという。

「ゆくゆくは、各事業部門の開発データをKnowledge Explorerにつなげて、横断的に参照できるようにしたいなと考えています。他部門の情報が参照できるようになれば、当初の導入目的であった人材育成や、開発スピードの向上にもつながると信じています」(柴田氏)

最後に、Knowledge Explorerに対する今後の期待として、柴田氏から次のようなコメントをいただいた。

「ドキュメントに付与できるタグを活用していきたいと思っています。現状、タグによる検索方法が少し手間なので、SNSみたいにハッシュタグ(#)を付けて簡単に検索できるようになると嬉しいです。また、OneNoteを開発課内で利用しており、結構情報が溜まってきています。この情報を上手く検索できるようになるとありがたいです」(柴田氏)
  • プレスト生産部 研究開発課 係長 柴田氏と「CLEMIA」大型ディスプレイ
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