Case study
導入事例

Knowledge Explorer

計量機器・POSメーカーのナレッジ活用事例(株式会社寺岡精工)

寺岡精工は、スーパーマーケットなどの流通小売業界をはじめ、生鮮加工センター、食品製造工場、物流センター、サービス・飲食店舗に向けた、電子機器、システム、サービスを提供する総合ソリューションメーカーだ。日本初の「寺岡式敏感自動バネ秤」製造から始まり、世界初の電子料金秤、サーマル印字方式バーコードプリンタ、自動計量包装値付機、セミセルフレジ、次世代型のスマホレジ(Shop&Go)など、「新しい常識の創造」を続ける、業界のリーディング・カンパニーでもある。

 

そんな同社では、開発者の技術・ノウハウが社内のデータベースに文書化して蓄えられているにも関わらず、「気付かない」、「探せない」ことが理由で、共有や活用が進まない課題を抱えていた。

 

今回、企業内に存在する技術・ノウハウの保護や、情報共有の促進・活用を使命とする、同社の知的財産規格部にインタビューを行い、Knowledge Explorer導入の経緯と効果について話を伺った。

お客様の企業プロフィール

会 社 名 株式会社 寺岡精工 (Teraoka Seiko Co., Ltd.)
本  社 東京都大田区久が原5-13-12
従業員数 1,238名 (2019年3月末現在)
事業内容 電子はかり、電子計量値付システム、自動計量包装値付機、POSシステム、POP作製システム、仕分けシステム、カウンティングスケール、自動倉庫管理システム、店舗総合情報管理システム、浄水システム、リサイクル処理機、廃棄物管理システムなどの製造、販売、保守
お話を伺った方
知的財産規格部 規格グループ アーキテクト 原口秀明氏
知的財産規格部 知財グループ 係長 森豊樹氏

(取材年月日:2019年3月20日)

採用いただいたソリューション
Knowledge Explorer

活用しきれていない「Notes」という宝の山

社内の技術やノウハウを文書化し、グループウェアなどのシステムを利用して共有することは、業種・業態を問わず、多くの企業が実践していることと思われる。しかし、企業規模が大きくなり、存続年数が長くなるにつれて、組織の細分化や、管理される文書の増加により、折角の整えられた情報が活用しきれていない状況に悩まされている企業は少なくないのではないだろうか。寺岡精工もそのような企業の一つであった。同社 知的財産規格部 規格グループ アーキテクトの原口氏は、寺岡精工の文書管理状況について次のように語った。

「当社ではNotes(IBM Notes/Domino)を20年以上利用しています。図面管理から業務連絡まで、社内で作成される文書は全てNotesで管理しています。利用年数が長いこともあり、システムの操作に長けている社員が多く、部門や部署ごとにデータベースが作成されて、その数は1,000を超えています。複数の部署で同じ文書を対象にしたデータベースが作成されていることもあり、探したい情報がどこにあるのか、誰にでも分かりやすい仕組みになっているとは言いにくい状況でした。」

また、働き方改革が後押しする業務時間短縮の流れの中、ノウハウを効率よく社内に浸透させるための課題について、同社 知的財産規格部 知財グループ 係長の森氏は次のように語った。

「ノウハウを多くの社員に有効活用してもらうためには、必要なノウハウを見つけやすくすること、共有できる状態に無いノウハウを文書化すること、という2つの側面からのアプローチが必要です。私たちが社内調査した結果、ほとんどのノウハウは既に文書化されてNotes上に管理されていました。したがって、これら文書を如何にして活用してもらうかを考えることが、私たちの最重要検討項目となりました。」
  • 株式会社寺岡精工 知的財産規格部 規格グループ アーキテクト 原口秀明氏
株式会社寺岡精工 知的財産規格部 規格グループ アーキテクト 原口秀明氏
こうした課題を解決するための仕組みやツールを探している中、2018年2月に開催された大塚商会主催「実践ソリューションフェア」に参加した両氏は、Knowledge Explorerに出会った。そして、Notesによる文書管理の仕組みを変えずに課題解決できる点に非常に興味を持った。

「大塚商会の営業の方に相談したところ、図研プリサイトさんが開発する Knowledge Explorerを紹介してもらいました。本当にこの金額で良いのかと思えるくらい、当社の課題解決にマッチした内容だと感じました。」(森氏)

その後、製品が同社環境に適合するかの調査や、貸出によるトライアル評価を経て、2018年7月、同社へのKnowledge Explorer 正式導入が決まった。

 探す、という「新しい文化の創造」

正式導入後、全社的に利用を開始するまでにはいくつかの障壁があった。当時の苦労について、原口氏は次のように語った。

「Notesが文書検索に特化した仕組みでは無いため、社内に"Notesのデータベースを検索する"という文化がありませんでした。したがって"Knowledge Explorerによって検索できるようになれば、ノウハウの共有や活用が進んで、結果として生産性を損なうことなく業務時間が短縮できることにつながる"といった啓蒙活動が、苦労した点の一つでした。」

一言で啓蒙活動といっても、様々な製品開発を手掛ける同社には部門の数も多く、部門ごとに検索したい文書やその背景も異なるため、十把一絡げに全員を集めて説明すれば良いというものではなかった。そこで同社の知的財産規格部では、スモールスタートでKnowledge Explorerの利用を開始した。

「まずは2部門(包装環境事業部、リテール事業部)の開発部門に協力してもらい、Knowledge Explorerの利点を説明した上で、検索したい文書のヒアリングを実施しました。」(原口氏)

また、Knowledge Explorer を効果的に利用するには、検索したい文書の大よそのグループ化が必要であり、1,000以上のデータベースが存在する同社環境では、このグループ化作業が大変だったという。

「開発部門からヒアリングした結果を元に、存在する文書やデータベースのグループ化を実施しました。ファイル種別や更新者などの属性で機械的にグループ化しても意味がありませんので、"どのような視点でグループ化すれば、開発者が効率よく目的の文書を検索できるか"を試行錯誤しながら考えました。この作業だけで、1ヶ月程度の時間を費やしました。」(原口氏)
  • 寺岡精工の切替式対面型セルフ精算レジ「HappySelf(ハッピーセルフ)」
寺岡精工の切替式対面型セルフ精算レジ「HappySelf(ハッピーセルフ)」
このような苦労がありながらも着実にデータベースのグループ化を進めていき、現在では「450万以上の文書を管理するデータベースを約30グループに分けて、Knowledge Explorerの利用部門を徐々に拡大している。」と森氏は語った。

「開発部門では概ね展開が完了したので、今後は製造部門、品証部門にも広げていきたいです。また、Notes上の文書は検索できない、という固定観念を持っている人はまだまだ多いので、啓蒙を継続していく必要性も感じています。」(森氏)

Knowledge Explorer への要望と期待

最後に、森氏と原口氏からKnowledge Explorerへの要望を伺い、期待を込めて次のような回答をいただいた。

「エンドユーザごとに、グループを更に細分化して検索できるようになると、有効活用の幅が広がると思います。」(森氏)

「導入から9ヶ月ほど経過した現在、Knowledge Explorerの機能や性能は格段に良くなっていると感じています。私たちから提示した課題は、必ずと言って良いほど解決する術を図研プリサイトさんからいただいているので、今後も私たちの要望は必ず叶えてくれると思っています。非常に画期的なツールなので、今後も業務改善やノウハウ共有・蓄積に役立つ成長を期待しています。」(原口氏)
  • 株式会社寺岡精工 知的財産規格部 知財グループ 係長 森豊樹氏
株式会社寺岡精工 知的財産規格部 知財グループ 係長 森豊樹氏