Case Study

導入事例
2026.10.08 Visual BOM

北山一真氏×PreSight対談:製造業の競争力は「経緯と根拠」に宿る ~PLMとAIが拓く次世代の技術継承~

倉本:
本日はPLMの仕組みづくりから運用定着に至るコンサルティングに数多くの実績をお持ちの、株式会社プリベクト代表 北山様にお越しいただきました。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

北山:
株式会社プリベクトの北山です。どうぞよろしくお願いいたします。倉本さんには書籍『儲かるモノづくりのためのPLMと原価企画【実践編】』のAIに関するテーマを執筆いただきました。そこでできたご縁で今日の対談が実現しました。どうぞよろしくお願いいたします。
ところで、書籍の反響はいかがですか?

倉本:
おかげさまで好評いただいています。PLM導入を検討中のお客様にお持ちしたら、「すでに5冊購入しています」というようなケースもありました。

北山:
前作よりかなり実践寄りな内容になっているので、受け入れていただけるかな、と思っていた部分もあるのですが、私もお客様から「今回の実践編も買いました」「前作も読みました」とありがたいお声をいただくことが多いです。まぁ、私のビジネス上、自然な流れかもしれませんが。笑

倉本:
そうですね、コンサルティングを依頼する前に内容を読む方が多いというのは想像がつきます。笑
ただ、マニアックな内容とおっしゃいましたが、東京駅周辺の書店で平積みされるなど一定程度評価いただけている部分は確かにあると感じています。

北山:
あれは嬉しかったですね。
さて、そんなご縁から、本日は「PLMとAI」というテーマでぜひ対談させていただきたいと倉本さんにお願いさせていただきました。

倉本:
ありがとうございます。ぜひ、フリートーク形式で、ざっくばらんに意見交換できればと思っています。

登壇者写真

登壇者 ※役職は対談当時の肩書です

左:株式会社プリベクト 代表取締役 北山 一真 様

右:株式会社図研プリサイト 営業部長 倉本 将光

PLMを再構想する時代へ 〜目的別BOMが再び注目される理由〜

倉本:
北山さんはPLMシステム導入プロジェクトを主導するコンサルタントとして、様々なお客様、プロジェクトをご覧になっていると思います。プロジェクトのテーマなど、以前と比べてトレンドの変化を感じますか?

北山:
まず前提として、私に相談が来る案件ということで偏っているかもしれない、というのは断らせていただきますが……。最先端のテーマを扱うような案件というよりは、「PLMをもう一度見直したい」という相談が増えてきたかもしれません。
以前は、
・原価企画
・設計標準化
・ナレッジの見える化
・モジュール化
といったテーマを多く支援していました。ところが最近は、「PLM全体を改めて構想し直したい」というご相談が増えてきました。

倉本:
構想「し直す」ということは、以前PLMを導入したけれども、当初の目的を達成できていないようなケースということでしょうか。

北山:
そうですね。もちろん、当初目的が未達だったというケースもありますし、ビジネス環境が目まぐるしく変わっていく中で、「M-BOM(※)、BOP、目的別BOMを改めて考えよう」という流れを感じます。
例えばPLMを導入したが
・CADデータ管理にとどまりPDM的な使い方になっている
・E-BOMだけ存在する(M-BOMが整備されていない)
というようなお話ですね。

※M-BOMについては、以後「PLMで持つべき生産準備BOM」を指します。

倉本:
たしかに、引き合いをいただくお客様に聞くと、PLMがPDM的な活用にとどまっているケースというのはよく聞きます。また、M-BOMがスコープに入るプロジェクトも多くなってきた実感があります。

北山:
最近は「自社に本当に必要なBOMは何か?」を改めて考える企業が増えています。E-BOM、M-BOM/BOPだけではなく、目的別BOM――たとえば調達BOM、サービスBOMなど企業によって必要なBOMは違います。
だから私が整理するのは、改めて
・BOMでどんな付加価値を管理したいのか
・そのBOMを使ってどんな判断をしたいのか
ということです。

倉本:
北山さんは簡単そうに言われますが、BOMを目的から改めて考える、というのは企業にとっては仕事のやりかたを根底から考え直す一大プロジェクトですね。

北山:
たしかに、お客様の社内からは
・今のやり方で作ることができているじゃないか
・手配できているじゃないか
・なぜBOMが必要なんだ
というような声が挙がるケースもあります。E-BOM=M-BOMのシングルBOMで運用していたら、「なんでわざわざ別のBOMを作らなくてはいけないんだ」という意見が出るのはもっともです。
でも私は、BOMは製品の付加価値を見える化するものだと思っていますから。

倉本:
付加価値の見える化ですか。どういうことか伺ってもいいですか?

北山:
たとえば設計部門には、設計部門が担う製品の性能保証という付加価値があります。
製造部門には、製造部門が担うモノづくりや作業の付加価値があります。
さらに分割出荷するような大物の製品で言えば、E-BOM、M-BOMがあってもそのあと分割して、輸送金具をつけて、適切に現地で据付できなくては性能が再現されません。そういう部分にも付加価値があります。そう考えると、どこで分割して、どんな輸送金具をつけて、どのような梱包で運ぶのが一番適切なのか、そうした付加価値を見える化するとなると、シングルBOMでは難しいのです。
今までは出荷Excelリストみたいなドキュメントで管理していたものを、すべてつなげて管理していくと考えると、各部門が生み出している価値をデータとして表現することが重要なんです。
となると、目的別BOMが必要なんですよ。

倉本:
いままでは設計が作ったBOMに各部門で少し手を加えたような補助的な資料を作っていた、というケースもよくお聞きします。でも、今はよくても、代替わりしたときに同じようにできるだろうか、という観点でいただく引き合いも増えてきました。

北山:
現場ではまだExcel中心の運用も多いですよね。
E-BOMからM-BOMを作るために、巨大なマクロや複雑な関数が使われている、差分チェック用Excel……誰がメンテナンスできるの?という「お化けExcel」が存在するのもよくあるケースです。おっしゃるとおり、経験者がいるうちは回るんです。
でもその人がいなくなったらどうなるか。もう限界が近いと思います。

倉本:
弊社のお客様は、PLMシステムをお持ちの企業もありますが、初めてPDMやPLMを導入する企業も増えている印象です。
そうした企業のお話を聞いているとこれまでは人手で回せていたけれど、
・ベテランの高齢化
・技術継承
・人材不足
が現実問題になってきた。
そこで初めて必要性を感じ始めているケースが多いですね。そういった意味では、目的別BOMの必要性がだんだん浸透してきたというか。流れを感じますね。

北山:
目的別BOMという考え方自体は、実は20年以上前から言われています。当時は概念としては正しかった。ただ実装する技術が追いついていなかったのかもしれません。
それが今になって、
・システムが成熟した
・データを扱えるようになった
・現場課題も顕在化した
ことで、市場が本気で取り組み始めているように感じます。

倉本:
また別の視点で見ると、ERP導入の波が一巡して、次はこのERPとPLMをいかに繋げるか、というテーマにフォーカスするお客様が増えてきたというのもありそうですね。
ありがとうございます。そろそろ本題のAIの話についても話していきたいと思います。笑

設計者の判断をAIは支援できるのか

―――類似検索が切り拓くAI活用の第一歩

倉本:
弊社は2026年7月に開催された「ものづくりワールド」に出展しまして、Visual BOMの最新版(V6.2)の中のAI機能を紹介しました。
例えば、
・類似図面AI検索
・類似文章AI検索
といった機能です。過去に登録された情報から、AIが似たものを探してくれる仕組みですね。

北山:
その類似検索というのは全文検索とは違うのでしょうか?

倉本:
はい、完全一致検索ではありません。文章をベクトル化して類似度を計算するような仕組みです。キーワード一致だけでは拾えないものも対象にできます。

北山:
なるほど。そういう機能は非常に重要ですよね。どうしたって言葉は人によって揺らぎますから。マスタデータを類似検索できるのは理にかなっています。
今日はぜひ、その先についてもいろいろディスカッションさせていただきたくて。

倉本:
はい、ぜひお願いします。

―――要求仕様とBOMをつなぐAIの可能性

北山:
PLMにおけるAI活用で実現できたら本当に面白いと思っているのは、「要求仕様からBOMを自動生成できないか」というテーマです。
以前から書籍などにも書いていますが、設計というのはよく考えると、
・要求仕様が入力
・BOMが出力
なんですよね。だから私は、言語間の翻訳に近いんじゃないかと思っているんです。

倉本:
翻訳ですか?

北山:
例えば英語を入力すると日本語になって出てくる。これが翻訳ですよね。
同じように、
・顧客要求
・要求仕様書
を入力した結果、
・どんなユニットが必要か
・どんな部品が必要か
・どんな構成になるか
が出てくる。考え方としては近い気がするんです。

倉本:
なるほど。

北山:
GPTなどのLLMでも使われているトランスフォーマーモデルは、インプット言語の修飾・被修飾の関係、係り受けまで考慮したうえで、アウトプットを出力します。
同じように、どの要求仕様がどのユニットや部品にかかるかを考慮したうえで、構成を出力する、というような挙動が可能ではないかと考えています。ただ、そのためにどんなことをAIに学習させればいいのか、というのがまだ見つかっていないんです。私は技術屋さんではないので想像しているだけなんですけど。笑

倉本:
なるほど、おっしゃることは理解できました。

北山:
例えば個別受注の設備メーカーだと、
「処理能力をこれだけ上げたい」とか「この制御を追加したい」という要求が来ます。
すると設計者は経験を使って、
・このユニットが必要だ
・この配管が必要だ
・このセンサーが必要だ
という判断をします。でも、それって本質的には知識の集積ですよね。

倉本:
確かにそうですね。経験豊富な設計者は自然に判断します。

北山:
そうなんです。そして多くの場合、過去案件を参考にしています。「あの案件で似たことをやった」「この制御ならこのユニットだった」みたいな話ですね。
これまで私はそうした経験則を、
・150%BOM
・コンフィグレーションルール
・設計ナレッジ
といった形で整理してきました。つまり、人間がルールを定義するというアプローチです。しかしこれにも限界が見えてきました。

倉本:
ルール化コストも大きいですよね。

北山:
大きいです。しかも企業によって違う。企業毎ならまだしも、事業部、拠点、製品によっても違う。担当者によっても違う。
だから本当は、AIが自動的に特徴を学習してくれたらいいと思うんです。

―――設計者は本当に最適な選択ができているのか

倉本:
我々もAIの活用について考えてきていますが、やはり完全に自動生成させるのは現段階だと難しいと考えています。というのは、AIが嘘をついたり、間違えたりする可能性があるので、結局チェックに人の工数がかかったり、大きな手戻りが発生したりする可能性を排除できないからです。
ですので、現実的な第一歩としては、要求仕様に近い過去の案件を探して、そのBOMを提示するという形を模索しています。

北山:
まずはそこだと思います。
「この要求に近い案件は過去に5件あります。そのBOMはこれです」と出てくるだけでも違う。

倉本:
いわゆる「流用元の選定」ですね。

北山:
まさにそうです。実際には設計者って、会社の全案件を知っているわけではありません。
結局、自分が知っている案件から選ぶんです。だからこそ、自分の知らない候補を選択肢として出してくれるだけでもありがたい。ただ、そこにもう一つ視点を加えてみたいんです。

倉本:
ぜひ教えてください。

北山:
面白いことに、現場の皆さんのお話を聞いていると本当は80点の他人の設計より、70点の自分の設計を流用するケースってかなり多いんですよ。

倉本:
気持ちは分かります。自分の設計の方が意図を理解していますからね。よくわからない流用元を選んで失敗したくない、後から「なんでこれ選んだの?」という形で責任を取るのは嫌ですよね。

北山:
そうなんです。だから、本当に最適な流用元が選ばれているとは限らない。
そこでAIが、「本当はこっちの案件の方が近いですよ」と言ってくれたら大きな価値があります。

倉本:
そのとおりですね。我々は、たとえば、流用元を選ぶ根拠として過去の案件のQCDをAIでスコアリングして表示する、ということを考えています。
人の判断を置き換えるのではなく、人の判断を支援するAIを搭載していきたいという考えのもと、製品のエンハンスを進めています。

北山:
私の考えとも一致しています。設計というのは最終的に「意思決定」なんですよね。
たとえば、流用元を選ぶにあたって、
・コストを優先した
・納期を優先した
・品質を優先した
という判断があります。同じ要求でも選ぶ際の状況に応じて答えが変わりますよね。だから、本当に必要なのは「なぜその案を採用したか?」という判断の根拠です。

倉本:
当社もそこは重要視しています。なので、先ほど北山さんから「何をAIに学習させようか」というお話がありましたが、我々はその「判断の根拠」をこそ学習させるべきと考えています。
従来のPLMは、BOMや図面、ドキュメントなど製品情報の一元管理が中心でした。それによって判断、意思決定の高度化を支援してきたという自負があります。
今度はその次のステップ、高度化した判断の根拠を蓄積し、資産化していく。「判断の資産化」のステップととらえています。

北山:
とても腑に落ちました。判断の資産化、いいコンセプトですね。

倉本:
ありがとうございます。AIを活用するといっても、図面検索できます、文章検索できます、ではなくて、本当に欲しいのは判断を支援してくれるAIなんですよね。
最終的には、
・要求仕様
・BOM
・不具合情報
・設計履歴
こういったものを全部つなげて、人が判断するときに使える状態にする。そこにAIが乗る。そういう世界が来るのかなと思っています。

北山:
そうですね。そして将来的には、要求仕様を入力したら
「候補としてはこれが近い」「過去はこう判断していた」「この案は納期リスクがある」といった提案までしてくれる。そうなった時に初めて、PLMとAIが本当に結び付いたと言えるんじゃないかと思います。でもぜひ、モジュラーデザインやコンフィグレーションを支援したきた身として、個人的にはBOMの自動生成にもチャレンジしていただきたいです。笑


AI時代のPLMに残すべき「経緯と根拠」

―――PLMに入っていない「設計者が本当に知りたい情報」

北山:
先ほどの話の続きなんですが、設計現場において本当にAIに学習させたいものは何なんだろうと考えるんです。
BOMなのか。図面なのか。もちろんそれも重要なんですが、それ以上に重要なのは、「なぜそう判断したのか」なんですよね。

倉本:
私もそこは同意です。今のPLMって、どうしてもリリース済みの成果物が中心なんですよ。
例えば、
・図面
・BOM
・ドキュメント
は残ります。でも、その途中でどんな判断をしたのかは残らない。

北山:
設計者が知りたいのは、「どんな結果になったか」だけじゃなくて、「なぜそうなったのか」なんですよね。そしてその判断こそが企業の競争力の源泉というか。
以前から私は、「経緯と根拠」が重要だと言ってきました。
例えば、
・なぜこの板厚にしたのか
・なぜこのユニットを採用したのか
・なぜ別案を却下したのか
こういう情報です。

倉本:
デザインレビューなど、設計開発の節目、各ポイントで必ず会話している内容ですよね。

北山:
そのとおりです。でも残っていない。成果物だけが残るんです。ある部品のクリアランスが300mmだったものを350mmにしたとします。図面を見れば、「300から350に変わった」ことは分かります。でも、なぜ350にしたのかは残らないんですよ。

倉本:
設計変更事由の管理はPLMでもできるんですけどね。新規の設計となると難しい。

北山:
そうなんです。本当は320mmでやりたかったかもしれない。でも納期が合わなかった。あるいは製造が難しかった。結果として350に落ち着いた。そういう経緯が重要なんです。ここまでわかれば、「今回は納期に余裕があるからコスト重視で320mmでいこう」など、最適な判断をすることができます。

倉本:
それが判断の「経緯と根拠」ですね。

北山:
そうです。若い設計者が過去案件を見るとき、本当に知りたいのは図面じゃないんです。図面だけ見ても、理由は分からない。

倉本:
結局、その図面を描いた担当者のところに聞きに行きますよね。

北山:
そうです。「これ、なんでこうしたんですか」って聞きに行く。そして担当者は、メールを探したり、昔のやり取りを思い出したりする。でもその担当者が退職していたら終わりなんですよ。

倉本:
多くの企業で問題になっている技術の断絶ですね。

北山:
今の企業では、重要なやり取りが
・メール
・Teamsチャット
・Slack
等に散らばっています。そして数年後には誰も見ません。

倉本:
あることを知らなければ、検索しようとも思いませんからね。

北山:
だからこそ、私は昔から、コンテンツとコミュニケーションを分離してはいけないと思っているんです。例えば図面がある。その図面について話した内容は、その図面に紐付いていなければいけない。BOMも同じ。要求仕様も同じ。

倉本:
メールやチャットツールではなくて、PLM側に残すべき、ということですね。

北山:
そうです。設計変更の議論なら、ECRやECOに紐付いているべき。図面レビューなら、図面に紐付いているべき。

倉本:
ただ、現場からすると、「入力作業が増える」「二重入力じゃないか」という反応もありますよね。

北山:
もう本当にこれは、口を酸っぱくして言っているんですけど、誤解です。入力工数は増えません!もともとメールで書いている、Teamsで書いている、Slackで書いている。その場所をPLMにしてくださいって言っているだけなんです。

倉本:
たしかに。もともとどこかしらに書いているわけですからね。PLMももっとコミュニケーションツールとして進化しなくてはなりませんね。

―――「まず始める」が未来を変える

北山:
ついでですけど(笑)、PLMを導入される方には、最初から100点を目指さないようにしてほしいです。多くの会社がつまづくのがここです。
PLMを入れよう。じゃあ過去のデータをどうやって移行するのか?そういうことまで考えだすとまずプロジェクトが進みません。

倉本:
「過去20年分ぜんぶ整理したら始めます」というお話、たしかにありますね。でも結局やらない理由になってしまうというか。

北山:
そう、だから私はいつも、「今日からやればいい」と言っています。実際に以前、仕様管理をやろうとして頓挫した会社がありました。
最近またそこの担当者の方と話をしたんですが、こう言ったんです。「あの時始めていれば、今5年分のデータがたまっていました」

倉本:
まさにそうですね。

北山:
過去を完璧にしようとして何もしないより、今日から始めた方がいい。これはPLMでも同じです。

会議の録音データという「経緯と根拠」の源泉

北山:
そんな中で、最近特に面白いと思っているのが音声なんです。今、企業の中に一番増えているデータって何だと思いますか。

倉本:
なんでしょう。音声データとなると、会議の録音データとか。

北山:
まさにそれです。ここ5年で爆発的に増えたのは、そういった音声データなんですよ。

倉本:
会議を録音する文化が定着しましたからね。

北山:
そうです。会議では、「これにしよう」「いや、それは危ない」「納期が合わない」「コストが高い」と議論しています。つまり、判断の根拠そのものが話されているんです。

倉本:
たしかに議事録ではそぎ落とされてしまう部分ですね。

北山:
そのとおりで、今は録音しても議事録にしたり、要約したりして終わりです。でも本当はそこに企業の知識資産、ナレッジが入っているんです。

倉本:
たしかに、今は会議内容の要約を見て満足というか。

北山:
でも、設計の現場でいえば、本当に重要なのはそこじゃないと思うんです。
会議には、
・なぜその判断になったか
・どの案を捨てたか
・何を重視したか
が含まれている。つまり意思決定の過程がそのまま入っているんです。

倉本:
たしかにそういった議論の過程まで残そうとすると、入力負荷が大きいです。

北山:
おっしゃるとおり、人力で経緯や根拠をテキスト化するのには限界があると思っています。でもAIならそこの負荷を無視できます。
そして、音声という「経緯と根拠」だけを集めてAIに分析させるような取り組みより、きちんと成果物と併せて管理することが理にかなっていると考えています。重要なのは、
・要求仕様
・BOM
・図面
・レビュー
・設計変更
に紐付けることです。

倉本:
そこでPLMがハブになるわけですね。

北山:
そうです。会議の録音も、設計レビューの録音も、設計変更の録音も、全部製品情報とつながる。
そこまでいけばPLMがさらなる飛躍を遂げると思っています。


まとめ:マスタデータと「経緯と根拠」をつなぐ未来のPLM

倉本:
ここまで音声の話をしてきましたけれど、結局はPLMの本質的な価値の話につながる気がしています。
我々としても、
・BOM
・図面
・要求仕様
といったマスタデータ、成果物などの情報を管理することはもちろんですが、そこに関わる情報をどれだけ蓄積できるかが重要だと考えています。

北山:
私は昔から、コンテンツとコミュニケーションは分けてはいけないと言っています。
例えば、
・図面に関する議論
・BOMに関する議論
・要求仕様に関する議論
これらは本来、その対象データと一緒に存在しているべきなんです。

倉本:
コンテンツというのは、マスタデータや設計成果物。コミュニケーションというのは、今までお話ししてきた経緯と根拠、判断理由ですね。

北山:
そうです。これらは散らばってしまうから、結局誰も追えなくなる。担当者に聞きに行くしかなくなる。そして担当者がいなくなったら終わる。
だから、コンテンツに紐付いたコミュニケーションが必要なんです。

倉本:
これも先ほどのお話ではないですが、「今日から始めるべき」ということですね。

北山:
まずは「経緯と根拠」を残し始めることです。5年後、10年後には大きな資産になるはずなので。

Visual BOMへの期待要求~仕様管理から広がる可能性

北山:
Visual BOMは昔から、要求仕様の管理に力を入れているPLMですよね。

倉本:
北山さんに講演いただいた内容も大いに参考にさせてもらっています。

北山:
私自身、お客様にはいろいろなPLMを提案しますが、どうしてもCAD管理やBOM管理が強いPLMが多い印象の中、Visual BOMは要求仕様管理にいち早く取り組んできたPLMだと思っています。でも、どこも弱いのが先にもあった意思決定管理ですね。だから逆に言うと、そこは大きなチャンスだと思うんです。

倉本:
我々としても、要求仕様とBOMをつなぐ部分は大事にしていきたいと思っています。
また、今日のお話で出た音声データ、経緯と根拠を残す、というテーマも取り組んでいけたらと思っています。さて、今日はAIの話から始まりましたが、最終的にはPLMそのものの価値の話になりましたね。

北山:
そうですね。結局AIも、大量の情報があるから価値が出る。
そのためには、

  • ・BOM
  • ・要求仕様
  • ・不具合情報
  • ・意思決定
  • ・経緯と根拠
  • ・音声データ

こうした情報が蓄積されている必要があります。そして何より、技術者がなぜそう判断したのかを残していくこと。それが将来の競争力につながると思っています。

倉本:
Visual BOMもお客様の競争力向上、技術継承に貢献できるよう機能のエンハンスを進めていきたいと思います。
本日はありがとうございました。

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