【PLM導入事例】脱・紙文化×原価管理×設計製造連携をVisual BOMで実現!
アロカ株式会社
同社では、企業再編を契機に新たなPLMシステムの導入を決断しました。多様な製品群を抱える同社において、情報の一元管理と原価の「見える化」は長年の課題でした。今回は、システム選定の背景から導入後の活用状況、そして今後の展望について、アロカ株式会社 技術部の神田様、原様、芝本様、生産管理部の谷口様に導入前に抱えていた課題や、導入後の効果について詳しくお話を伺いました。
お客様の企業プロフィール
- 会社名
- アロカ株式会社
- 本社
- 東京都武蔵野市中町1-20-8
- 事業所
- 東京都青梅市今井3-7-19
- 資本金
- 1億円
- 事業内容
放射線測定装置の設計、製造、販売および保守
お話を伺った方
-
技術本部 計測技術部 副部長
神田 博明 様
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技術本部 計測技術部 機械設計課 課長
原 雅樹 様
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技術本部 計測技術部 設計管理課 課長
芝本 祐二 様
-
生産本部 生産管理部 生産手配課 課長
谷口 敦志 様
取材年月日:2025年10月3日 ※部署および役職は導入当時のものです
採用いただいたソリューション
モノづくりを強力に支援する
PLMソリューション
企業再編を機にPLMを刷新 ― 決め手はPLMの専門家の推薦
「ユーザーである我々はシステムの専門家ではありません。何が良いかも分からなかったので、コンサル会社に依頼して数社の候補を挙げてもらいました」(神田様)
最終的にVisual BOMの採用を決断する大きなきっかけとなったのが、PLMの専門家として知られる株式会社プリベクト 北山一真氏のセミナーでした。
「会社発足時に“自分たちのやりたいことができるシステムを導入しよう”という話になり、北山一真さんのセミナーを受講しました。内容が非常にわかりやすく、業務のあるべき姿が明確にイメージできたんです。そこでVisual BOMが登場し、強く印象に残りました」(原様)
北山氏の講演や著書を通じて、アロカ様はPLM活用の方向性を具体的に描くことができました。既存の設計資産を活かしながらスムーズに移行できるという点も大きな決め手となり2022年8月にVisual BOMの導入が正式に決定しました。
「これまで使ってきた設計資産をそのまま活かせること、そして現場が慣れ親しんだ操作性が維持できること。この2点が移行の障壁を下げ、安心して導入を進められました」(神田様)
PLM導入効果①:脱・紙文化!製品情報の一元化で流用設計と購買精度を向上
新システム稼働に伴う試行錯誤の中で、これまでの紙の帳票管理を主とした運用を改め、BOMを基盤とした製品情報の一元管理を実現。標準製品・個別受注製品を含めた全製品をVisual BOM上で一括管理し、担当外の製品も含め誰でも製品全体像を把握できるようになりました。
「担当外の製品もBOMを見れば一目瞭然。過去案件の情報も参照できるので、流用設計や見積作業の工数が大幅に削減できました」(原様)
従来から文化としてあった流用設計も、見える化できたことによって大幅に進化しました。どのユニット・部品がいつ・どの程度使われているかを明確に把握できるため、購買計画の最適化やコスト削減にも寄与しています。
「Excelと記憶頼みだった頃とは大違いです。必要なデータがBOMから即座に取り出せるので、購買の精度も上がりました」(原様)
PLM導入効果②:ERP連携で原価情報を統一 ― コスト最適化を加速
「誰もが同じデータを基に議論できるようになったことで、建設的な意見が出やすくなりました。上司は指示を出しやすく、部下は根拠をもって受け止められる。共通言語ができたことが大きいです」(原様)
PLM導入効果③:ワークフロー整備でトレーサビリティ強化
さらに、担当者が様々な業務の合間を縫って進める都合上、どうしても差し戻し対応や確認漏れも多く、属人的な管理から抜け出せない状況だったと言います。この一連の流れを、システム上にワークフローとして構築したことで、Visual BOMでは原価設定に必要な属性の表示・編集も柔軟に行えるようになり、「設定が終わったら経理入力」「差し戻しがあれば通知」といった各工程がシステム上でシームレスにつながるようになりました。
「これまでは“今どこまで進んでいるか”を打ち合わせで確認していましたが、今はワークフローを見れば一目瞭然です」(原様)
加えて、組織や業務フローが変化した際にも、オーガナイザー(Visual BOMの設定ツール)上で素早くワークフローを修正できるため、頻繁な編成にも柔軟に対応可能です。例えば、調達部門が市場から製造中止部品の情報をいち早く入手した際には、それを社内に迅速に展開する専用のワークフローを新たに構築中です。これは現場社員の発案から生まれた取組みでした。
「Visual BOMを知らない社員から“こういうことできないかな?”という声が上がり、オーガナイザー担当者がすぐに設定を変更し、検証を進めることができています。こうした自発的な発案が出てくることもそうですし、それに応えてくれるシステム設定の自由度が嬉しいですね」(原様)
また、個別受注品における手配の中で、システムを介さず技術部門から直接工場へ外製部品をマニュアル支給するケースについても、ワークフローによるチェック機能の活用を検討中です。原価設定や設計業務にとどまらず、社内業務全体を柔軟に支えるインフラとしてワークフローを活用する動きが広がりつつあります。
更なる導入効果:設計製造連携の強化
「以前は一部の人しかシステムを見ず、他は紙図面で確認していたため、最新版が分からず混乱することもあった。今は工場側からでも自分で最新版を確認できるので、設計への問い合わせ回答待ちが減り、仕事が格段にやりやすくなりました」(谷口様)
さらに、製造中止部品への対応では、逆検索で影響する製品を抽出し、設計変更~BOM改定~原価再計算までを一気通貫で管理するワークフローを構築しました。
「同じBOMや図面を見ながら、誰がどの判断をしたか、どこで問題が起きているかが明確になったことで、修正すべき箇所をピンポイントで是正できるようになりました」(原様)
運用面ではE-BOM→MBOM変換を廃止し、E=MBOM化によりフロントローディングを徹底し、全体最適化を実現しました。
「システムは、誰がどの判断をし、今どこまで進んでいて、次に誰が対応すべきかを明確にします。可視化されることで、やるべきことが後回しにできなくなりましたね」(原様)
今後は“コストBOM”の整備も視野に、設計と製造の連携をさらに強化していきます。
今後の展望:営業による設計資産活用へ拡大
「営業も同じ基盤を使うことで、お客様とのやりとりがより具体的になります。2Dでは伝わりにくい部分を3Dで補いたいと考えています」(原様)
まとめ: BOMを軸に“全体最適”を実現 ― 人は創造的な仕事に集中できる環境に向けて
「システムに頼れるところはシステムに任せ、人間にしかできないことに時間を使う。それが本来の業務改革だと思っています」(原様)







