加熱撹拌機メーカーのPLM導入事例
梶原工業株式会社
そんな同社は、設計業務の効率化と更なる製品品質向上を実現するため、図面とBOMに超軽量な3Dデータ(XVL)を加えて管理することで、設計成果物の全社的な共有と活用を実現する図研プリサイトのPLMソリューション「Visual BOM」を導入した。
食品機械のリーディングカンパニーである同社において、Visual BOMはどのように業務を支援しているのだろうか。同社の東京工場に訪問し、設計部のお二方に話を伺った。
お客様の企業プロフィール
- 会社名
- 梶原工業株式会社
- 本社
- 東京都台東区松が谷2-13-13
- 工場
- 東京工場:埼玉県越谷市増森工業団地
- 設立
- 1939年1月
- 資本金
- 9,600万円
- 事業内容
食品加工機械・製菓機械の製造
お話を伺った方
-
設計部 部長
黒瀬 昌孝 様
-
設計部 主任
宮内 新平 様
取材年月日:2025年3月5日
採用いただいたソリューション

モノづくりを強力に支援する
PLMソリューション
従来の運用に限界を感じ、3D設計への移行を検討開始
設計部 部長の黒瀬昌孝氏は、このような問題を「CADデータ正」の運用に変えて解決すべく、同社のPDM導入を推進した一人だ。PDMにスクラッチ開発の特注システムを連携させて、ユニットおよび部品の流用が間違いなく容易にできる環境を作り上げてきた。
しかし、主として2D CADで設計していた同社は、新たな課題に直面した。構築したシステム上で組立図(アセンブリ)と部品図および部品表の連携がうまく取れず、担当者のスキルによっては設計ミスが発生してしまうという課題だ。これらを解決するには「3D設計への移行が必須」だと黒瀬氏は考えた。また、納入先ごとに異なる設計図面の版管理や、特注システムによる制約も課題となっていた。
「例えば、ある機械を複数社のお客様に納入している場合、A社には第二版の図面のもの、B社には第三版の図面のものなど、納入している図版の違いがあります。お客様の機械に修理が発生した際、どの図版で納入しているかが重要なのですが、従来システムだと管理しきれない問題がありました。また、従来システムはCADやOSを容易に最新版へアップデートできない制約があり、各ソフトウェアがサポート終了を迎えると、システムが立ち行かなくなる懸念を抱えていました」(黒瀬氏)
BOM登録の「簡単さ」と3D社内展開の「しやすさ」がポイント
黒瀬氏は、Visual BOMについて「従来システムの課題解決に加えて、3Dアセンブリから調達システムへデータ連携可能な部品表作成、承認管理によるデータの保護、修理や改造時に参照できる実績データの管理など、流用設計の効率化を突き詰めてきた従来システムの機能を引き継ぎつつ、3D設計移行に伴う機能アップも期待できるシステムはこれしかない」と感じたという。
設計部を中心に5、6社のシステムを比較・検討した結果、同社は、Visual BOMの採用を決定した。2023年5月、システムの本番運用を開始して、現在は機械設計、電気設計、営業技術のメンバー合わせて総勢50名程度で利用している。システムの導入検討から社内展開まで、中心となって進めてきた一人である設計部 主任の宮内新平氏は、システム選定の決め手を次のように教えてくれた。
「3D CADで作成した構成を、XVLを介してそのまま設計部品表として登録できること、他部門への3Dデータの展開が容易に実現できそうなことが大きな決め手でした。また、従来のシステムで管理していた図面データの移行が容易であったこともポイントでした。」(宮内氏)
業務特性を考慮した機能で、改善と向上を実現!
「お客様が求める食品の風味を安定的に再現するため、お客様ごとのリクエストを汲み取り、細かいところまで設計するのが我々の強みです。BOMを並べて比較できる機能によって改良時の検討が以前より進めやすくなったので、効率的に強みを活かすことができるようになったと感じています」(宮内氏)
また、近年、現場にタブレットを用意して、ペーパーレスで図面を展開する取り組みが進んでいるが、同社の現場は溶接作業が多く、現場への図面展開は紙のままの方が便利な側面がある。このような同社の特性を加味して、図研プリサイトが提供したVisual BOMのカスタマイズ機能も役に立っているという。
「従来のシステムでは、図面を1枚ずつ開いて印刷しなければならなかったため、非常に時間がかかっていました。現在は、複数枚の図面を、製番や製作数など出力したい内容含めて一括で印刷できるようになったため、出力作業が劇的に楽になりました」(黒瀬氏)
お客様への更なるサービス向上を目指し、古い図面の3D化を進行中
黒瀬氏からは、Visual BOMの更なる活用を踏まえて「逆展開機能で、展開結果に製品のみ表示できる部分は非常に便利です。当社の特性上、製品ではなく、納入先の一覧を結果に表示できるようになると、もっと便利になります」と、期待を込めてリクエストをいただいた。
1939年設立の長い歴史を持つ梶原工業。老舗の和菓子屋さんなど、30年以上前に納入した機械を現役で大切に使ってくれているお客様も多い。できる限り、そのような機械の修理・保守を対応するところも同社の強みの一つであり、数千枚を超える古い図面の3D化にも取り組んでいる。Visual BOMで共有できる3Dデータが増えることで、更なる全社的な活用が見込めるだろう。