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図研プリサイトがもっと分かる!

株式会社O2 代表取締役社長 松本 晋一 氏

株式会社図研プリサイト

代表取締役社長 上野 泰生

株式会社O2

代表取締役社長 松本 晋一 氏

対談 2013.03.01

日の丸製造業復権のために届けたい、熱い思い

株式会社O2

代表取締役社長 松本 晋一 氏

株式会社図研プリサイト

代表取締役社長 上野 泰生

株式会社図研プリサイト 代表取締役社長 上野 泰生

図研とO2のコラボレーション

上野 今回の協業は、私が松本さんに直接お電話したことが発端ですね。お互い同じ製造業の分野で仕事をしていて共通のお客様も多かったのですが、不思議と同じプロジェクトに参加することがなかったので、協業に対する考えを、直接伺いたかったのです。松本社長から見て、図研はどんな会社でしたか?

松本 外から見た印象は、とてもスピード感があってアグレッシブな会社でした。外資系に少し近いイメージですかね。そしてお話しを伺うまでは、どうしてもEDAの会社だと思っていましたが、実は3Dデータを中心とした、モノづくり全体のソリューションも手がけている会社でした。ラティス・テクノロジーや、東洋ビジネスエンジニアリングなどとの資本・業務提携は、この新しい領域への布石なのかと納得しました。いずれにせよ、御社ご自身が思っているより、業界での存在感ははるかに大きいのが、図研という会社だと思います。図研が業界に与える影響力は、大きいと思います。

上野 ありがとうございます。確かに、社内の人間の方が自社の価値を理解できていないかも知れませんね。

松本 私たちはずっと、日本の製造業を強くしたいという思いでコンサルティングビジネスを展開してきました。御社のような会社が中心となって、共通のプラットフォームを構想できれば、日本の製造業をもっと強くできるのではと、感じています。

上野 結果的にですが、プリント基板設計の世界に限定すれば、まさにCR-3000やCR-5000が共通プラットフォームとなりました。そして今、私たちが取り組んでいるのは、エレキとメカを同列で扱える新しいエンジニアリング・プラットフォーム「Visual BOM」です。このプラットフォームでは、デファクトとして3DのXVL、エレキのODB++を採用しており設計だけで無く、製造やサービス、サプライヤにまで情報の活用範囲を広げられます。

松本 業務改革の定着期では、プラットフォームの活用が効果的であり、私たちは様々なPDM、PLMを扱うITベンダーさんと協業しています。その中でも御社が面白いと思っているのは、私たちと同様に純国産という点です。日本のお家芸であるはずの製造業ですが、使われているITやコンサルが海外のものばかりというのは、正直残念な気がしていましたので。

上野 それはまったく同感です。私がラティス・テクノロジーや東洋ビジネスエンジニアリングとパートナーシップを結んだのも、やはり「日の丸製造業には日の丸ITで」という思いが強かったからです。そして今回、御社との協業で、このプラットフォームを動かしていくための標準化や運用コンサルティングのノウハウが提供されることを期待しています。

日本の製造業への「思い」を込めたソリューションを

対談写真01 対談写真01

松本 O2という会社を立ち上げてからは、よく「お金儲け屋」と「事業家」の違いについて考えます。「こうやれば儲かる」というビジネスと、「世の中にこう説いていかないと」という事業は、根本的に異なります。そして、私たちは後者の方を目指していきたい。「日本の製造業は、こういう方向に向かっていくべきだ」というメッセージを、それがたとえお客様の意向と合致しなかったとしても、発信し続けていかなければと考えています。その結果、商談を落とすこともありますが、それでも良いと思っています。

上野 我々のビジネスも、常に世の中の一歩先を行って、新しい製品やソリューションを提案する「プロダクトアウト」型です。しかしそれ故に、お客様が直近で考えている課題とは合致せず、理解を得られないことも少なくありません。営業は受注したいので、お客様の意を全面的に汲もうとするのですが、意見がぶつかってでも、本来有るべき姿は何かを常に求める必要があると、私は思っています。図研は30年以上にわたり、モノづくりの世界に育てていただいたので、社会貢献というと大げさですが、業界や社会に対してメッセージを発信していく使命があります。そのような取り組みの一例が、電子部品の3Dデータ無償提供です。さまざまな部品メーカにお願いして、各社がお持ちの3Dデータを提供していただき、ユーザに無償で再配信しています。こうした取り組みは、直接的には一銭の儲けにもなりません。でもそれを通じて、日本の製造業がIT活用を少しでも高度化できればそれで良いと思っています。

松本 そうした「思い」が根本にあることは、とても大事だと思います。コンサル会社に求められる資質には3つあると思っているのですが、1つは「体験に裏付けられた知見」、2つ目が「最先端の知識」、そして3つ目が熱意というか、「製造業こうあるべし」という「思い」だと思っています。得てしてコンサル会社は、うわべの知識だけは豊富なのですが、コンサルタントが製造業の実態を知らないため、「思い」の部分が希薄なんです。その点我々は、製造業の現場で働いていた人間がコンサルタントを務めていますので、皆「製造業の現場をこう変えるべきだ!」という熱い思いを持っています。

上野 確かにO2のコンサルタントは、皆さん熱い「思い」を持たれていますね。だからこそ、私たちの「Visual BOM」のような、ちょっと先を行ったソリューションに対しても、「なるほど。これを使えば、製造業の現場をこう変えることができる!」と、とても直感的に感じていただけたのでしょうね。

グローバル開発では3Dがコミュニケーション手段に

対談写真02 対談写真02

松本 初めて「Visual BOM」を見たときに、とてもエッジが効いた製品だと思いました。BOM製品というと、BOMのデータベースがあって、検索ができて、逆展開ができて、ドキュメント管理やワークフローの機能がついていてと、どの製品も機能に大差はありません。でも「VisualBOM」には、3Dを徹底的に活用した、とてもユニークな特徴がたくさんありました。私たちもエッジの効いたコンサルティングを心掛けていますので、「エッジとエッジのコラボ」が熟成していけば、今までにない大きな変化を業界に起こせるのではないかと期待しています。

上野 そう言っていただけると、とてもありがたいですね。これまで手配や製造でしか使われてこなかったBOMを、いかに有効活用できるかということを、私たちはずっと考えてきました。エレキの世界では、BOMはCADと同列の設計ツールとして活用されているので、何とかこれと同じことをメカの世界にも持ち込めないかと、研究を重ねてきたのです。そのベースとなったのが、ラティス・テクノロジーのXVL技術です。これにより、BOMと3Dモデル双方から製品情報を指し示すことができるようになりました。ただ、BOMをビジュアライズする意義や価値を理解していただけないお客様もいらっしゃいます。BOMの検討なので3Dは関係ないと、スコープに入れていただけないことも、しばしばあります。生意気ですが、BOMの入れ替えだけでは経営効果が大きくないことがわかっている案件で、単に受注するためだけの提案はしたくないのです。

松本 導入担当の方は特に、目の前に見えている課題しか捉えられないんですね。でも一度世界に目を向けてみれば、例えばベトナムやブラジルで設計開発を行うとなると、現地で図面や部品構造を理解できる人はいません。そこではやはり、3Dデータがコミュニケーションツールとして極めて重要になってきます。

上野 特に日本の製造業は、先進国の中で3D化が圧倒的に遅れています。海外のグローバル企業では、製造現場のコミュニケーション手段はもはや言葉ではなく、3Dのビジュアルデータとなっています。一方日本の製造業では、自動車業界を除くと設計以外の3Dデータ活用はまだまだです。自社の3Dデータの活用が、設計部門で完結してしまっていることを、経営者の方々は、あまりご存じありません。

松本 日本の製造業のプレゼンスを高めるには、日本国内だけでなく世界のフィールドで仕事ができなくてはいけません。そのためには、「日本人以外の人たちに、いかにモノを作ってもらうか」を真剣に考える必要がありますが、こうした課題そのものを認識できていない人たちがまだ多くいらっしゃると、私も感じています。

モジュラーデザインや標準化の本来の意義とは

上野 グローバル化への対応という意味では、「モジュラーデザイン」や「標準化」といったキーワードもよく取りざたされています。

松本 モジュラーデザインは、今後の大きなトレンドになると思います。共通部分をプラットフォームとして設計して、その上に各国別の仕様を載せるという設計開発手法ですね。O2のコンサルのメインメニューのひとつでもあります。日本ではコストや効率などの全体最適より、とにかく良いものをつくるという、部分最適の思想が強いせいか、どうしても各国向けに個別開発しがちです。まずここを変えていかないと、モジュラーデザインまで到達しません。

上野 かつてはそれが日本のモノづくりを支えてきたのでしょうが、市場がグローバルになった今、それだけでは競争を勝ち抜けませんからね。

松本 「グローバル」や「イノベーション」といったキーワードの実態は、実はそんなに難しいことではないと思うんです。イノベーションというと、何かとんでもなく創造的な発想が必要だととらえられがちですが、実際には既存の技術の組み合わせがほとんどです。では、何をどう組み合わせればいいのか。これを考える上でキーになるのが、「活用シーンをイメージする」ことです。製品の機能から考えるのではなく、日々の生活や仕事の場面をイメージして、「こんなことができたらいいな」「こんなことが求められているのではないか」ということを想像すればいいのです。アップルはこれが抜群に上手かったのだと思います。

上野 まさに「Visual BOM」は、製造業の現場での活用シーンをイメージして、「こんなものがあったらいいな」を実現しつつあると、自負しています。しかしこの全体像やその「思い」を説明しようにも、最近では企業が用意したRFP(Request For Proposal)にまず答える必要があります。RFPでは主にブレイクダウンされた機能の「ある・なし」を答えることになりますが、どのベンダーも、レベルは違っても、ほとんどの設問に、「ある」または「可能」と解答します。結局、RFPを回収したところで全体像は見えず、ベンダーの差も浮き上がりません。O2はこれらRFP作成の支援もされていると思いますが、どうお考えですか?

松本 ご指摘のとおり、ユーザが求めるのは、本来個々の機能ではありません。ユーザ側が自社の活用シーンを基に真のニーズを導き出し、ベンダーに思いをぶつけるのがまず一番だと、私も考えています。RFPはあくまでもその補完として、システムを実装していくのに不足が無いかを確かめるものでしかありません。同じように、標準化の取り組みも誤解されていることが多いですね。標準と聞くと、何か設計や生産に制約を受けるイメージがあるのでしょうか。しかし私は、標準は即ち「チャンピオン」だと思っています。社内にあるさまざまな部品やプロセスの中から淘汰されて勝ち上がってきたチャンピオン、つまりベストプラクティスを内包した部品やプロセスをできるだけ使えということです。ただ単に標準を守って設計しなさいということでは無いのです。

上野 我々が提供するITソリューションも、そうした本来の意味での標準化の取り組みを促進し、定着させていくために活用してもらいたいですね。ぜひ、日本の製造業が「チャンピオン」に復活するために、お互いの「思い」を伝えていきましょう。