Case study
導入事例

Knowledge Explorer

社会インフラ事業会社のナレッジ活用事例(株式会社東芝 インフラシステムソリューション社)

インフラシステムソリューション社は、東芝の中で社会・産業インフラを支える基幹事業を手がけ、グローバルに機器やシステム、サービスを提供する社内カンパニー組織です。小向事業所はこの中で、駅務機器システムや、郵便機器システム、紙幣処理機器システムなどの開発と生産を担っている主要拠点の1つです。製品設計時における不具合発生の未然防止や知識継承、情報共有の強化を目的に、作成中の文書を解析し、必要な情報をPUSH(自動提示)する図研のナレッジ共有ソリューションKnowledge Explorerが試験導入されました。
  • 株式会社東芝インフラシステムソリューション社_製品例
今回は導入検討を主導頂いた株式会社東芝 小向事業所 技術管理部 主務の松本敏紀氏と、同じく技術管理部 主務の野呂文秀氏にKnowledge Explorer導入検討の背景と製品に寄せる期待についてお話を伺いました。

お客様の企業プロフィール

会 社 名 株式会社東芝 (小向事業所:神奈川県川崎市幸区小向東芝町1) http://www.toshiba.co.jp/
本  社 東京都港区芝浦1-1-1
創  業 1875年7月
従業員数 198,741人(2015年3月31日現在 連結ベース)
資 本 金 4,399億円
お話を伺った方
小向事業所 技術管理部 主務 松本敏紀 氏
小向事業所 技術管理部 主務 野呂文秀 氏

<導入いただいた部署>
小向事業所内のセキュリティ・自動化システム事業部における設計および品質保証業務
郵便機器、紙幣処理機器、駅務機器、セキュリティ機器、ICカード 合計5BU(ビジネスユニット)

(取材年月:2016年3月)

採用いただいたソリューション
Knowledge Explorer

手間の掛かる仕組みは定着しない

当たり前の話ですが、製品に不具合が発生すると無駄なリソースとコストが発生してしまいます。製品の改修費用だけでも、ばかになりません。小向事業所では過去に何度か、設計品質の向上や不具合発生の未然防止を目的としたワーキンググループを立ち上げて、知識継承やノウハウ共有強化のために様々な取り組みを行ってきました。いわゆるナレッジマネジメントの推進活動です。地道にナレッジを書き溜めていくというような事もやりました。しかし、これらの取り組みは一般的に、非常に多くのリソース(手間)がかかりますので、社員個人の負担も軽くはありません。そのため、モチベーションを維持しながら活動を継続する事は難しく、長期的に定着させる事が難しいという側面がありました。このような経験からの反省も踏まえて「できるだけ現場に負担をかけずに、効率的に情報を共有できる方法はないものか?」という視点から、ITソリューションを含めた情報活用の改善検討が始まりました。
  • 株式会社東芝インフラシステムソリューション社_インタビューの様子1
小向事業所 技術管理部
主務 松本敏紀 氏

"即戦力を求められる若手は情報収集の要領の良さを鍛錬するための期間が少ない。Knowledge Explorerなら効率的な情報収集の術を提供できると思っています。"

ビジネスユニットを横断した情報共有を

小向事業所では様々な製品群を取り扱っている事もあり、業務遂行のために複数のビジネスユニットに分かれた形でモノづくりが行われています。そのため、ファイルサーバーの他、複数のデータベース製品、コミュニティサイトなど、各ビジネスユニットに合わせた情報共有の仕組みが整備されていましたが、情報の量が増えてくると、結果的に設計開発、製造に関わるデータや資料が社内の色々なところに散らばって存在するようになり、社員が個人レベルですべてを把握する事が難しい状況が出てきました。ビジネスユニット毎への部分最適を進めた結果、全体的な情報共有という面ではバランスが悪くなっていました。

このような中で、品質保証部門を中心としてビジネスユニットを横断した情報共有の仕組みを強化したいという要望が出てきました。
  • 株式会社東芝インフラシステムソリューション社_インタビューの様子2
小向事業所 技術管理部
主務 野呂文秀 氏

"「今までに無い仕組みだ」というのが率直な感想です。「発想支援」というイメージを持ちました。「人手を使わずに何かやろう!」というコンセプトは他にはありませんでしたね。"

少ない負担で、かつ直観的な仕組みを求めて

不具合の未然防止を実現しようとすると、沢山の人的リソースをかけなければなりません。しかし、現実的には未然防止のために振り分けられるリソースは限定的です。そのため、現場に業務負荷をかけずに実施できる効率的な情報共有のやり方が求められていました。

過去にも色々な製品を検討してきましたが、管理者と利用者の双方の負担が大きいものが多く、検討段階で「これは難しいな」と感じる事が多々ありました。社内に定着させるには簡単に情報を探せる仕組みでないといけません。

社内には既に整備されているデータベースシステムや、文書管理システムがあり、文書検索の仕組みもありましたが、検索のシステム負荷が高く、検索を掛けると、対象のデータベースや文書管理システムの動作が重くなり、利用しにくいケースもありました。また、文書管理システムは機能が多すぎて、現場の社員から直観的に利用できないという意見も出ていました。一見簡単に利用できそうな、これらの既存社内システムにすら沢山の課題や意見が存在しており、人的・システム的に負荷をかけないで、かつ直観的に社内情報を横断検索できる仕組みが必要だろうという思いが強くなっていきました。

人手をかけないというコンセプトは、他社にはなかった

Knowledge Explorerとは図研が毎年開催しているプライベート展示会Zuken Innovation Worldで出会いました。「今までに無い仕組みだ」というのが率直な感想です。Knowledge Explorerは文書を作成している最中にユーザーをアシストしてくれますが、これに「発想支援」というイメージを持ちました。事業所が求めている方向性に近いと感じました。 仮に、設計仕様の検討という利用用途を考えた場合、過去モデルのデザインレビューで指摘されていた内容が、今回の設計では考慮されておらず、試作段階でその検討不足が発見されるというケースがあり得えます。もちろん量産に入る前の段階ですので、途中で検討不足に気付き、対策を施しますから最終的な品質は守られます。ただ、途中での手戻りが発生していますので、できればこれを無くしたいわけです。つまり、未然防止を行いたいのです。例えば、当事業所では静電気防止策がどの製品でも必要になってきますが、担当者がこの防止策や過去の失敗例、不具合事例をきちんと把握する事は、その労力を考えると簡単ではありません。単純な情報検索の仕組みでは、人やチームによってバラツキが発生してしまいますので、これも防止したいと思っていました。
  • 株式会社東芝インフラシステムソリューション社_インタビューの様子3
"現場に浸透させるためには、いかに使い易いか?という視点も必要です。Knowledge Explorerは日常利用しているオフィスソフトと連携して動作するため、直観的な利用が可能となっており、日常使いする仕組みとしても現実的だと思いました。"
この点、Knowledge Explorerは単純な検索システムではなくて、社内に埋没している文書を自動分析して自社専用のナレッジワード辞書を作成し、重要なキーワードの自動検討とPUSH(自動提示)をしてくれます。これは人の力では決してやりきれない作業です。「人手を使わずに何かやろう!」というコンセプトは他社製品には見当たりませんでしたし、作成中の資料に必要な情報をPUSHしてくれる仕組みには、気付きを得られるという点で非常に期待を持ちました。ナレッジワード辞書を基にして情報がPUSHされますので、検索のバラツキという問題も解決できると思います。実際に社内データを利用した評価環境を作り、図研さんにプレゼンを行ってもらいましたが、現場への負担が非常に少ない事がわかりました。これなら運用できるかもしれないという感覚を出席者の皆が持てたと思います。また、現場に浸透させるためには、いかに使い易いか?という視点も必要です。Knowledge Explorerは日常利用しているオフィスソフトと連携して動作するため、直観的な利用が可能となっており、日常使いする仕組みとしても現実的だと思いました。

若手にも積極的に利用してもらいたい

最近は若手に対して「即戦力」を求める傾向があります。そのため、若手が情報収集の要領の良さを鍛錬するための期間が少なくなってきていると感じます。ベテランに比べて若手は情報収集力の面で弱いと言えるでしょう。一方で、最近の若手はITに強い人が多いので、Knowledge Explorerのような仕組みを導入すれば効率的な情報収集が行える術を提供できると思っています。

今後の展開

今回は特定のビジネスユニットに限定した試験導入を行いましたが、Knowledge Explorerは一部のビジネスユニットに限らず、多くの部門で活用できる仕組みだと思っています。そのため設計や品質保証という領域を中心に利用するだけではなく、将来的には製造、スタッフ部門でも利用できる可能性がありそうです。知識継承という課題は、どの部署、ユニットにも存在しています。まずは今回の試験導入でユースケースを確立させて、この仕組みの有効性を周知したいと思っています。うまくファンを作っていきたいですね。