Glossary
用語集

形式知

著者:図研プリサイト 佐藤 崇行

更新:2020/08/21 17:30

形式知とは、主に文章・図表・数式などによって説明・表現できる知識のことであり、誰にも認識が可能で、客観的にとらえることができる知識のことである。


自動車の運転を例にすると、初めて自転車に乗る際、ハンドルの切り方やブレーキのかけ方などの基本的な操作は口頭やマニュアルで教わる。これは聞いたり読んだりすれば誰でも意味を理解することができる「形式知」である。
個人の過去の経験から成り立つ言語化されていない主観的知識(暗黙知)との対比で用いられる。


ナレッジマネジメントの形式知

ナレッジマネジメントにおいては、暗黙知を言語化して形式知化することが重要である。
個人的な体験や知識・勘でも、それらをマニュアル化することで、個人的な体験に限定されていた事柄が、他人も理解できるように言語化され、客観的な知識として共有される。
このように個人的な事柄でも、客観的に言語化された知識に変換できれば形式知となり得る。

暗黙知を形式知化するには

暗黙知を形式知に変換する際は、「共同化」「表出化」「結合化」「内面化」という4つのフェーズで構成されるSECI(セキ)モデルというフレームワークを使用する。


  • 共同化:暗黙知を暗黙知として伝え、経験を共有していく
  • 表出化:暗黙知の共有後、それを言葉や図など明確なものに変換していく
  • 結合化:すでにある形式知と形式知を結び付け新しい知識を形成して、個人的で潜在的な暗黙知を組織財産として活かす
  • 内面化:形式知が従業員の内面に知識として蓄積され、新たな暗黙知を創り出し、再び新しい形式知を構築していく


各個人の知識(暗黙知)を共有する「共同化」プロセス、暗黙知を文書や図表(形式知)に変換する「表出化」プロセス、形式知を組み合わせて新しい形式知を創造する「連結化」プロセス、創造された形式知を各個人が体得する「内面化」プロセス、これらプロセスを繰り返して、組織や個人をともに成長させようという考え方である。


個人(Ex. 熟練技術者)が有する暗黙知を明文化・理論化(形式知化)して知識の共有化を図ることが、ナレッジマネジメントの目的である。