Glossary
用語集

CAE

著者:図研プリサイト 佐藤 崇行

更新:2021/03/12 17:00

CAE(英:Computer Aided Engineering)とは、コンピュータ上で製品の性能を評価(シミュレーション)できるシステムのことである。


CADで作成されたデータを使用して、構造解析や流体解析といった性能試験を行うことができるため、試作回数を削減し、製品のリードタイムを短縮できる。ただし、材料力学や解析の意味・目的を正しく理解して実行しなければ、CAEを効果的に活用することはできない。


例えば機械を動作させたときに機械のどの部分にどのくらいの荷重がかかっているのかを知りたければ、CAEによる応力解析を理解していれば実際に試作機を製作しなくても、部品(材質)の強度が十分かどうかなどを、コンピューター上でシミュレーションが可能となる。
また機械の振動による部品の変形度合いや変形量を解析する振動解析、熱伝導解析による部品や機械の温度分布や熱応力を求めることも可能であるため、CAEは機械設計を効率的にするだけでなく、精度が高い機械設計にも大きく貢献できる。

CAE導入のメリット

CAEを導入することで以下の様なメリットがある。


  • 製造コストの削減
    CAEを導入しシミュレートすることで試作品の作成が減り、試作品にかかるコストカットができる。
  • 製造時間短縮
    試作品と設計の往復を短縮。試作品を使ったテスト時間を短縮し、制作時間を短縮できる。
  • 特殊な環境での実証
    実験が難しい耐火、耐熱、真空などの動作も、パソコン上で検証が可能。

近年はCAEと融合した3D CADシステムも開発されているため、設計・解析・施策(改善)のプロセスを並行して行うことも可能である。機械設計における設計検証プロセスは益々効率化されており、CAEはとても重要な技術となっている。

CAE活用のために必要なこと

CAE解析には「材料力学の知識」「有限要素法の知識」「ソフトウェアを利用するための知識」の3つの知識が必要となる。


  1. ソフトウェアの知識
    CAEはCADや解析ソフトを使用した方法となるため、ソフトに関する知識や利用環境構築に関する知識も必要となる。

  2. 材料力学の知識
    製造したものに負荷がかかったときに生じる影響・変形を計算し、強度設計にフィードバックする知識が必要となる。

  3. 有限要素法の知識
    解析が難しい微分方程式を分割して近似解を得る方法。複雑な形状や声質を持つ要素に分解し、簡単なモデルへ置き換え、再編成。挙動の予測を行う。

まとめ

本記事の内容をまとめると次の通りです。


  • CAEは、設計した製品を実際に作る前段階において、コンピュータ上で製品の性能を評価(シミュレーション)できるシステムのことである。
  • CAE導入メリットは、「製造コストの削減」「製造時間短縮」「特殊な環境での実証」がある。
  • CAE解析には「材料力学の知識」「有限要素法の知識」「ソフトウェアを利用するための知識」の3つの知識が必要となる。

昨今のQCD向上を満足させるためには、CAEを有効に活用した製品開発をすることが益々重要になっている。