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用語集

BOM

BOM(英:Bill Of Materials)とは、1台の製品を構成する材料・部品の一覧表です。日本語に直訳すると「材料の請求書」であり、プロセス型製造業では「配合表」や「レシピ」、組立型製造業では「部品表」と訳されます。


本ページでは、組立型製造業における「部品表」と同義のBOMについて説明します。


BOMの起源

1970年代初め、アメリカ生産・在庫管理協会(APICS)が、MRP(英:Material Requirements Planning)という在庫を管理して生産計画を立てる手法を考案しました。このMRPにおける所要量展開計算(調達に時間がかかる部品や資材を、どのタイミングで何個発注する必要があるか計算する処理)のマスタデータがBOMであるため、MRPの誕生がBOMの起源だと言われています。


日本では、1970年代後半からMRPが導入され始めたため、BOMも同時期に普及されたと思われます。


表現形式によるBOMの分類

BOMは、表現形式によって大きく3つに分けることができます。


  1. サマリー型
    製品を作るときに必要となる部品や原材料を並列に記入する形式です。各部品の必要数量が分かりやすいため、部品の調達に向いています。

  2. マトリクス型
    2つの要素を縦軸と横軸に並べて相関関係が確認できるようにする形式です。部品を縦並び、製品を横並びにして、どの部品がどの製品でいくつ使用されているか確認できます。派生モデルの多い製品で採用されることが多いです。

  3. ストラクチャー型
    部品に加えて、製品が完成するまでの中間工程も入力する形式です。構造型とも呼ばれており、製品をルートとするツリー構造で表現されます。予定工数やリードタイムの計算に適しています。


表現形式によるBOMの分類

利用部門によるBOMの分類

BOMは、利用部門によって含まれる情報が異なり、次のように呼ばれます。


  1. E-BOM(英:Engineering BOM)
    設計部門が作成するBOMです。日本語では設計部品表とも呼ばれています。主に、設計が図面を作成する部品のみ記載されます。E-BOMはサマリー型で作成されることが多かったのですが、設計の作図ツールがデータ内でストラクチャー型を表現できる3D CADへ移行するにつれて、ストラクチャー型で作成されるケースが増えています。

  2. M-BOM(英:Manufacturing BOM)
    製造部門で利用するBOMです。日本語では製造部品表、生産部品表と呼ばれています。前述したMRPのマスタデータとなるため、単にBOMと呼ばれる場合は、M-BOMを指すことがほとんどです。E-BOMに、製造時の中間工程や副資材、梱包材料を加えて完成させます。製造時の中間工程やリードタイムを計算するため、ストラクチャー型で作成されます。

  3. サービスBOM(英:Service BOM)
    顧客先で稼働する大型設備製品などの個別受注生産品の場合に、1台(号機)ごとに用意されるBOMです。部品交換などの履歴が号機ごとに異なるため、E-BOMやM-BOMとは内容が変わってきます。


製品開発プロセスにおけるBOMの変遷

BOMの課題と対策

設計変更が発生すると、利用部門ごとのBOMに変更を反映する必要が発生します。この時、部門間の情報連携が正しく行われないと、反映漏れなどのミスが発生して手戻りを引き起こします。


このような設計変更の課題は、各種BOMをPLMシステムで一元管理することにより防ぐことができます。また、PLMシステムを使えば、変更内容を自動反映するなど、BOMメンテナンスの手間を省力化することもできます。



参考文献